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2012-11-29(Thu)

チューダーズ <ヘンリー8世 背徳の王冠>/テューダー朝二代目イングランド王

チューダーズ <ヘンリー8世 背徳の王冠> この作品はイングランド史上もっとも悪名高い王の物語です。ヘンリー8世役は、
ジョナサンリースマイヤーズ。いい人役ジョナサンでファンになった私ですが、この役柄のジョナサン、ハマります。この役は彼にとっても俳優として飛躍できた作品だと思います。2007年~2010年にイギリスで放送されたドラマで日本でDVDが発売されたのは2011年12月。

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「ヘンリー8世を題材にしたテレビドラマなら面白いに決まってる」というのが見る前の予想。歴史上まれに見る暴君&見境なしの
王様です。ストーリの内容は、細かなところは史実と異なるところもありますが、大まかにはほぼ再現されているといって良いでしょう。

舞台は1509年 - 1547年までのイングランド。
ヘンリー8世は父・ヘンリー7世と母・エリザベス・オブ・ヨークの次男。彼は反逆者や犯罪者だけでなく忠実な側近・重要な重臣さえも次々に処刑していきます。そしてその財産、建物を没収していきます。この背景の裏には、ヘンリーを取り囲む貴族、家臣などや様々な人間の妬み・策略によりヘンリーに処刑されるに至るケースがあります。そしてヘンリーは後に処刑してしまった重臣を失ったことを後悔するのです。

また、彼はイングランド国教会による教会や修道院の土地・財産を没収し安く分与し、王室の財源を潤しました。これに対し対抗する反乱軍や反抗する者を皆殺しにして見せしめとしました。首謀者は処刑、反乱軍側の修道院の僧侶は協会の塔に吊るされ、反乱に参加した中流貴族はロンドン塔で斬首。そしてその蛮行を止める者はいなくなります。ヘンリーが全国の教会/修道院を破壊して得た財産は、現在の価値にして総額2858万ポンド以上にも上ったという。無茶苦茶な財源確保です。

彼は生涯で6度の結婚をし、6人の王妃のうち2人は結婚を無効とし2人は処刑してしまいます。現在のイギリスの基礎を作った王で統治的才能があったようですが、非常な残忍さを持つ人物でした。妻をとっかえひっかえしたのは飽きっぽい事も原因のひとつですが、男児が生まれなかった事で暴走を始めました。やっと男児が生まれても認知しなかったり、謎の死を迎えたり、幼少のうちに亡くなったりと、たった一人、無事に成長していた3番目の妻の嫡出男子、エドワードさえも16歳で亡くなります。

エドワードの死後、皮肉なことに彼の2人の娘が歴史に有名に残る人物となりました。

1番目の妻  キャサリン・オブ・アラゴンの娘「血のブラッディ・メアリー」ことメアリー1世
2番目の妻  アン ・ プーリン      の娘「処  女  王」   こと エリザベス1世 です。

後者、エリザベス1世については、母・アン・プリーン処刑後、父親に王位継承権を剥奪され庶子となります。(その後メアリーも父親に王位継承権を剥奪され庶子となります。)後にヘンリーの最後の妻キャサリン・パーがヘンリー8世を説得し、剥奪されていた2人の王位継承権を復活させ王女として教育。そして、ヘンリー没後にエドワードが死去。姉のメアリー1世も統治たった3年で病気により死去します。

そうしてエリザベス1世が即位、45年近くもイングランドを大繁栄に導いた女王となります。これは最後の妻キャサリン・パーの功績といっても過言ではありません。一方、実の娘でもあるにも関わらず、彼女達の王位継承権を剥奪したヘンリー8世は、もしもあの世から、黄金時代と呼ばれるほどの、後の国の繁栄を見ることができていたなら、どのように感じたでしょうか。エリザベスは生涯独身をつらぬき後継者を残さなかったため、チューダー朝は幕を閉じました。歴史的には有名な王朝として人々の記憶に残りましたが、チューダー朝は孫世代までしか続かなかったのです。

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                   若きエリザベス1世      テューダーの薔薇の紋様と毛皮で飾った即位衣を纏うエリザベス1世 



※ロンドン塔にあった子供の遺骨&幽閉され不明となった二人の子供の王位継承者
チューダー朝はヘンリーの父・ヘンリー7世からですが、なぜこれほどに王子に恵まれなかったのでしょう。ヘンリー7世統治の時代を少し遡る1483年、王位継承したものの剥奪され、ロンドン塔に幽閉されたエドワード5世(13歳)と弟リチャードのお話は有名ですが、消息は現在も判っていません。かつては2人がリチャード3世によって暗殺されたと伝えられてきましたが、現在の研究ではヘンリー7世が2人の運命に深く関わったとする説も有力です。また、リチャード3世、ヘンリー7世、いずれの王位簒奪者にとってもエドワード5世と弟リチャードは邪魔な存在であったことは確かなことです。1674年、ロンドン塔の改修の際に、子供の遺骨とみられる大小の頭蓋骨や骨片が入った木箱が発見され、鑑定されましたが性別・年齢も特定できませんでした。ちなみにリチャード3世は即位してたった2年程で戦死、そしてヘンリー7世即位、エリザベス・オブ・ヨークと結婚するのですが彼女は幽閉され不明となった二人の兄弟なのです。つまり不明になった二人の子はヘンリー8世の叔父にあたることになります。後に記述するジェーン・グレイはヘンリー8世の妹の孫でしたが、彼女をメアリー1世が処刑、そしてヘンリー8世の姉マーガレットの孫メアリー・ステュアートをエリザベス1世が処刑することになります。二人の女王は各々、統治的な事情でやむにやまれず処刑した経緯となっています。こうして、ヘンリー7世はチューダーズ朝だけでなく数少ない子孫を失います。ロンドン塔に幽閉されていた二人の子の失踪に関与していたかどうか明らかになってはいないけれど、なんだか因縁のようなものを感じませんか。

※ヘンリーには姉と妹がいますが、ドラマでは姉のマーガレットチューダーだけが登場します。ドラマでは彼女はスコットランド王をさっさと殺して国に帰ってきますが、実際は異なっていて何年か過ごし子供を授かり、孫が(メアリー・ステュアート)「スコットランド女王のメアリー1世」となります。


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※歴史上の6人の妻について(以下は実際に残っている記録より抜粋の為「ヘンリー8世 背徳の王冠」の内容と異なる箇所があります)

◎1番目の妻・キャサリン・オブ・アラゴン
女王として気品と威厳をかねそなえながら国民からも家来からも慕われる人柄の持ち主でした。彼女はスペイン王家からヘンリー8世の兄アーサーの元に嫁いできた王女でしたが、その数ヶ月後に花婿は急逝。持参金の返却を惜しんだヘンリー7世は王太子ヘンリーとの婚約を持ちかけ双方の合意で成立。しかし旧約聖書に「人もし兄弟の妻を娶れば汚らわしきことなり」の一節に抵触する恐れがあった為、時の教会法規により、特別に免除された結婚でした。また、ヘンリーにとってキャサリンは初恋の相手であり、二人は最初は仲睦まじかったのですが、キャサリンは度重なる流産と死産を繰り返しやっと出産したのは女児メアリ1世であったため、ヘンリーの愛情は冷えてしまいます。キャサリンの侍女であったアン・ブーリンがヘンリー8世の寵愛を受けるようになり、キャサリンは結婚の無効を突きつけられます。王妃の座を奪われ、娘メアリとの面会も文通も禁じられ監禁に近い生活となっても死ぬまで離婚を認めませんでした。そして生涯ヘンリーを愛し続けました。(この頃既にヘンリー40歳を超えておりました。)

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キャサリン・オブ・アラゴン    1536年キンボルトン城にて没する。死因は一説にはアンプーリンによる毒殺とも伝えられている。

※娘のメアリー1世について(ヘンリー8世と弟エドワード王子の死後)
弟のエドワード6世が亡くなった後、次の王位はメアリーのはずでしたが、ノーサンバランド公爵がヘンリー8世の妹の孫にあたるジェーン・グレイを無理矢理即位させ、息子の嫁にして王位を次がせようと画策。メアリーは正な王位継承権を主張し、ジェーン・グレイを擁立する一族と対立。国民もメアリーを支持しジェーンは九日間で王位を奪われ斬首処刑されることとなります。(九日間女王)王位を狙う大人の陰謀に巻き込まれた何も分からない17歳の少女でした。その後敬虔なカトリック信者だったメアリーはプロテスタントを弾圧、僧正・信者、女子供を含めて約300人を次々と処刑したことからブラッディ・メアリー(血まみれのメアリー)と呼ばれるようになります。

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    メアリー1世                  レディー・ジェーン・グレイの処刑              こちらはドラマのメアリー

◎2番目の妻・アン・ブーリン
ブーリン家は縁組により爵位や領地を増やしていった家系で、わずか4代前まで庶民でした。アンは王妃のキャサリンに仕える女官でした。当初ヘンリーはアンを愛人にするはずが、アンは強硬に妃の座を要求します。そこで王はキャサリンと別れ、アンを正式な王妃にしたいと考えましたが、カトリックは離婚を禁じており、ローマ法王は王の離婚を許しません。するとヘンリー8世はローマ カトリックと訣別し国王を長とするイギリス国教会を作り、アンと無理矢理に結婚してしまいます。やがてエリザベス1世が生まれますが、王子を望んでも、すぐには懐妊しません。そのうち王は、今度はアンとは対照的な女性ジェーン・シーモアと関係を持つようになります。ジェーン・シーモアはキャサリンとアンに仕えた女官でした。ヘンリーは、アンが男児を生めないことや、エリザベスの王位継承権に邪魔なメアリー暗殺を企てたり、ヘンリーがまだ先妻が皇后の時期に認知した、愛人のエリザベスブラントの息子(ヘンリー・フィッツロイ)をアンの弟に殺害させようとしたため、ヘンリーのアンに対する愛情は完全に冷めてしまいます。次の愛人(ジェーンシーモア)と結婚するためアンの弟や親密にしていた男性達との姦通容疑や反逆罪の罪にかけ、結婚僅か3年後に処刑してしまいます。娘のエリザベスは2歳でした。

歴史的「悪女」といえる人物ですが、育った家の慣習が彼女の不幸でもあるといえます。
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アン・ブーリン                    死刑台までひっぱるひっぱる・長すぎです。        

※アンプーリンの姉妹について
ヘンリー8世は、姉妹のメアリープーリンを最初に愛人としていました。後にメアリーはヘンリーの寵臣の1人と結婚します。彼女の子供はヘンリー8世の子と推測する専門家もいます。ヘンリーによく似た男児だったそうです(アンに夢中の王は他に子供が出来ても認知するわけがありません)ひょっとするとヘンリー8世の最後まで生き残った血のつながった男児だった可能性もあります。(この子はエリザベス1世統治の時代になってからエリザベスに仕えるようになります)この姉妹について興味があれば「プーリン家の姉妹」もご覧になる事をお勧め。

◎3番目の妻・ジェーン・シーモア
ジェーン・シーモアは前の2人の王妃の女官として仕えていた人物。そのため、王の事を十分に知っていました。ヘンリーはアンが処刑された翌日、ジェーン・シーモアと婚約を交わします。ジェーンはアンに虐待されていたメアリー王女にも優しく接し王家は一時平和を取り戻します。、結婚後しばらくしてジェーンは懐妊。難産の末生まれたのは待望の王子(嫡男エドワード)でした。ヘンリーの喜びはたとえようもなく、遠ざけていた娘のメアリー、エリザベスも出席させて洗礼式を行いました。しかし、ジェーンは疲労と産褥熱で12日後に亡くなってしまいます。わずか1年と5ヶ月の結婚生活でした。ジェーンの遺体は王のために既に造られてあった墓所に埋葬されました。ヘンリーと墓所を共にしているのは、六人の后のうちジェーンだけ、短い結婚生活であったため諍いのない日々を愛しんでの事でしょう。

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ジェーン・シーモア      ドラマでは答えを出していませんでしたが、子・王妃どちらの命を救うかのヘンリーの選択は王妃の命でした。

◎4番目の妻・アン・オブ・クレーブズ
フランス王と神聖ローマ皇帝が共に法皇を支持し、ローマから離れたイングランドに対抗する動きを見せていた為、イングランドはローマに対抗する大陸諸侯と同盟を結ぶのが良策と考え、ドイツのクレーヴス公の娘アン・オブ・クレーブズと結婚。ヘンリー8世は最初、彼女の肖像画をみて美しさに惹かれ結婚しましたが、実際の彼女は肖像画とはかけ離れた容姿であった為、1度も寝室を共にせずわずか半年で離婚しました。ヘンリーはその肖像画を描いた画家を宮廷出入り禁止にし、政治的思惑から彼女をすすめた側近トマス・クロムウェルを処刑しました。彼女は「王の妹」の称号と年金と城(ヒーバー城)を与えられ、メアリーやエリザベスとも交流を深め一生不自由なく暮らしました。

ヘンリーの毒牙に掛からず、ただ一人、幸せになった王妃ではないでしょうか。
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アン・オブ・クレーブズ        ドラマ上ではとりあえず夫婦の契りの努力?をしていることになっています。

◎5番目の妻・キャサリン・ハワード
ヘンリー8世の次の相手は30歳も年下のキャサリン・ハワード。第四王妃アン・オブ・クレーフェの侍女で第二王妃アン・プーリンの従姉妹でした。キャサリン・ハワードは無邪気で自由奔放、野心のない女性でした。王妃になる前に恋人もいました。年老いたヘンリー8世を尻目に結婚前からの恋人たちと密会を重ね、それが明るみに出て相手の二人の男性と本人は反逆罪で処刑されてしまいます。彼女も断頭台にたち「私は王妃としてではなく、カルペパー様の妻として死にたかった」と発言しました。ある意味ヘンリー8世のことを「貴方には「王」以外の価値はありませんでした」という爆弾のような一言を発言して死んでいった彼女に同情します。身分の低い貴族の庶子などにおそらく選ぶ権利などなかった時代、選ばれてしまったために20歳という年齢で人生の幕を閉じることになりました。

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キャサリン・ハワード               愚かな娘ではありますが、彼女は大人たちの出世欲の犠牲者です。

◎6番目の妻・キャサリン・パー
ヘンリーは翌年6回目の結婚をします。彼女は30歳の未亡人で才女、ヘンリー8世の最期を看取った女性です。
彼女は王に良く仕えたばかりでなく、ヘンリーを説得し前妻たちの娘エリザベスとメアリーの王位継承権を復活させ王女として教育。皇太子エドワードの教育にも腐心しました。ヘンリー8世は最後の結婚から4年目で梅毒により他界します。

異端者扱いされ危なかったキャサリンですが、ヘンリー王が彼女を救いました。 実はイギリスでは「歴代の王」人気No.1なのです。
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キャサリン・パー        初老のヘンリーを演じるジョナサンは目を見張るものがありました。

◆内部関連記事◆

※キャサリン・パーはこの後ドラマの登場人物の「誰か」と再婚をします。チューダーズ<ヘンリー8世 背徳の王冠>は
 王が亡くなる直前までですが、物語はこの後も続きます。→エリザベス /→エリザベスゴールデン・エイジへ続く
※1番目の妻・キャサリン・オブ・アラゴンの妹ファナも有名な人物です。→「狂女王フアナ」はコチラ
※ヘンリー8世は王子が生まれなくて大変でした。イギリス12世紀の「ヘンリー王(2世)」のほうは逆に、王位狙う王子が沢山いて苦労した王様です→THE LION IN WINTER 冬のライオン




The 123
(右)キャサリン・オブ・アラゴン役 マリア・ドイル・ケネディとマーガレット王女役、ガブリエル・アンウォーとのショット。

チューダーズ <ヘンリー8世 背徳の王冠> DVD-BOX1

 

[製作総指揮]
マイケル・ハースト
[出演]
ヘンリー8世 ジョナサン・リースマイヤーズ
キャサリン・オブ・アラゴン マリア・ドイル・ケネディ
アン・ブーリンナタリー・ドーマー
ジェーン・シーモアアニタ・ブリエム(途中降板)/アナベル・ウォーリス
アン・オブ・クレーヴズジョス・ストーン(シンガーソングライター)
キャサリン・ハワードタムジン・マーチャント
キャサリン・パージョエリー・リチャードソン
トマス・ウルジーサム・ニール
トマス・モアジェレミー・ノーサム
トマス・ブーリンニック・ダニング
チャールズ・ブランドンヘンリー・カヴィル
トマス・クロムウェルジェームズ・フレイン
              
★受賞★
2007年エミー賞・衣装賞受賞
2008年エミー賞・衣装賞受賞
2009年エミー賞・撮影賞受賞
2010年エミー賞・美術賞受賞・ゴールデンリール賞・音響編集賞受賞・衣装賞受賞
2008年アイルランド映画テレビ賞・TV部門主演男優賞受賞(ジョナサン・リースマイヤーズ)


◆外部関連記事◆

シネマカフェ的海外ドラマvol.205 押さえておくべき! イケメン特集 第4回 - cinemacafe.net:イケメン海外ドラマスター特集第4回は、「チューダーズ <ヘンリー8世 背徳の王冠>」
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