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2013-12-01(Sun)

エビータ  マドンナ/愛人からファーストレディ、そして伝説となった女性

1996年 アメリカ
エビータ1940年代のアルゼンチン。貧しい生まれで、かつ私生児でもありながら、第二次大戦下の中でファーストレディーまで上り詰めた女性、エバ・ペロンの生涯を描いたミュージカル映画。彼女は、幾人かの男性との愛人関係を経て、大統領になる男の愛人となり、そして結婚。 夫が大統領になると政治にも介入し、貧困層の人々の保護に努め、絶大な支持を得た。 33才という若さで子宮がんにより死去するが、没後60年を経た現在も尚、国民に親しまれている。作品ではアントニオ・バンデラスが、有名なアルゼンチンの革命家の「チェ」と称し様々な職業の人物に扮して、その時代と彼女を取り巻く状況の語り手として観る者に伝えている。エバを演じるのはマドンナ。題名となっている「エビータ(Evita)」とは親しみを込めて呼ばれている彼女の通称である。

アルゼンチンの貧しい村で父親のいない15歳の彼女は、最初にミュージシャンの愛人になり都会ブエノスアイレスに出たいと彼に無理矢理付いていく。しかし、そのミュージシャンには妻子がいて行き場をなくす。生きていくために彼女はその後、様々な男達と関係を持つ。グラビアモデルから女優となりラジオドラマの声優の仕事も得て活躍するようになる。女優の演技力はゼロ、だがコネは100%、男達を石段の踏み石のようにして上流階級へ登っていく。

ある日のパーティーで、副大統領兼国防大臣兼労働局長のペロン大佐と出会う。彼女はそれまでの彼の愛人を家から追い出し、自らその座を得て社交界にも踏み込んだ。当然、上流階級からの非難が彼女に集中するが、そんなことに屈するような女性ではない。ペロン大佐庇護の下、自身のラジオ放送番組を持ち、ペロンの民衆向け政治宣伝の活動を始めると、エバはラジオを通して多くの国民から支持されるようになる。

しかし、1945年アメリカを後ろ盾にしたアバロス将軍がクーデターを起こし、ペロンは軍事裁判で有罪となり、刑務所に投獄されてしまう。 弱気になるペロンを励ましエバはラジオに向かい国民に彼の釈放を呼びかけた。彼女の民衆への影響力にアバロス将軍はベロンを開放せざる得なくなる。もともと支持母体の弱かったアバロスは政権を放棄しペロンは釈放された。釈放後すぐに彼女はペロンと結婚する。


 その後、選挙で圧倒的な票を獲得したペロンは大統領となり、同時にファーストレディ
 となったエバは国政に介入するようになる。下層階級出身でまともな教育も受けて
 いなかった彼女が政治に首を突っ込むことは富裕層や軍上層部からの激しい批判を
 浴びる事となる。さらに、水着モデルで元愛人という経歴は「淫売」「成り上がり」と
 非難される。しかしそんなことにも屈せず、彼女は「レインボー・ツアー」と呼ばれる
 ヨーロッパ外遊を行い多数の国家元首と会見した。アルゼンチンは中立国でありな
 がら、戦時中、枢軸国寄りの姿勢を保ったことから戦後、ファシストの一員として
 見なされていた為、ペロン政権をヨーロッパにおいてイメージアップする事が目的
 だった。しかし、その中で、イギリスは、エバとの公式晩さん会を開催することを拒否
 したほか、バチカンも法王との会見は行ったものの、彼女に勲章を与えなかった。



[アルゼンチンよ、泣かないで/マドンナ]

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福祉基金「エバ・ぺロン財団」を設立し、貧困層への食糧の配給、養護施設の建設、低所得者向けの賃貸住宅の建設などを行った。

それでもレインボーツアーは結果的には成功。夫は、エバに副大統領の地位を与えて政治的権力を強めようとしたが、直後に彼女が子宮癌と診断されたため、それを断念した。1952年33歳でエバは、子宮癌によって死去。葬儀には数十万の市民が参列した。


女性の人権が今より認められなかった男性至上主義時代に、10代の貧しく教育も受けていない田舎娘が、たった一人、都会で生きていくためには、愛人という手段は、ごく普通のことだったのだろう。成り上がったからといって、これをたった一言「したたか」という表現だけでは収められない。きっと彼女はそうやって生きていくうちに、他者への影響力を持っている自分の能力を知ったのかもしれません。彼女は、愛人となっても男に溺れることなく目的に向かって人生を歩んでいた。批判する人たちはこれを「野心」と表現し、肯定する人は「志」と表現する。いずれにせよ、彼女は男性ではなく政治に恋をしたのだろうと感じた。その心理の移り変わりが、もっと明確に描かれていればと思う。当初、ムッソリーニのファシズムに影響されていた夫。もしも、彼女の存在がなければアルゼンチンはどのようになっていたのだろうか。
いや、そもそも、エバがいなければペロン大統領は存在しなかったのかもしれない。様々な非難を浴びながらも、現代に至って伝説となっている女性。彼女は生まれながらの政治家だったのかもしれません。この映画の製作にあたって、アルゼンチンでは、エビータをマドンナが演じることに抗議デモが発生したという。しかしながら、下積み時代、タイムズスクエアで、「私はこの世界で神よりも有名になる」と誓ってそれを現実にしたマドンナはエビータとよく似ている。そして、ミュージカルなのだから、歌手であるマドンナが主役で良かったと思う。
寂しげで優しい「アルゼンチンよ、泣かないで」はエビータと共に後世に残る名曲。まだ知らない方には是非、聞いてもらいたい。

エビータ [DVD]

[監督]
アラン・パーカー
[出演]
エバ・ペロン   マドンナ:
チェ        アントニオ・バンデラス
フアン・ペロン  ジョナサン・プライス



★外部関連記事★

飾釦 映画「エビータ」(出演:マドンナ)
登場する人間も多い大作なのですが、押さえるところはきっちり押さえている感じで激烈なる人生を送ったエバ・ペロンをただ称賛するだけでなく、彼女への批判的な部分をもアントニオ・バンデラス演じるチェという男を狂言回しのように登場させ彼にエバ・ペロンの闇、矛盾点を語らせることによりきっちり表現して、本来、善悪を兼ね備えている人間という矛盾した存在を一人の稀有な女性の生き方を通して描いているように思いました。

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