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2016-03-22(Tue)

風と共に去りぬ/不屈のダリア

1939年 アメリカ
00a-11_20160306025654389.jpgこれを最初に観たのは、小学生低学年の頃です。当時、テレビで釘付けになって観た映画でした。「いつかまた観てみよう」と思いつつ、ん十年が経過してしまった。有名な作品だし、いつでも見られると思って、いつも後回しにしていた。そのことを家族に話すと、「このままでは半世紀たっちゃうよ」と言われ、(そんなオーバーな・・・と思いつつ・・)やっとDVDを借りる。ストーリーも忘れてしまっていたのですが、主人公のスカーレットは活発で気性が激しく、強い女性であったことだけは記憶に残っていました。実は、物語を忘れてしまっていても、彼女は、私の憧れの女性だったのです。しかし、長年ぶりに観て思った事は、実際よりも美化されて記憶に残っていた、ということでした。彼女は、悪態つくし、愛のない結婚をして夫が死ぬと、「悲しくもないのに!」と言って舞踏会へ足を運んだり、妹の許嫁を横取りし結婚してしまうし、さらに親友の夫を何年も誘惑し続けるし。最後の夫レッドの事は、都合のいいように利用するし・・途中で「何故、私は彼女に憧れていたのかしら??」と頭を過った。けれど、物語が進むにつれ、彼女の勇気と潔さ、約束に忠実で、馬鹿を付けたいぐらい不器用で、そして、思い込めばわき目も降らずに突き進む。こんな気性が彼女の汚点ともなるものを、全て覆い被してしまうのです。さらに、相手のレッドの性格が、スカーレットの魅力を引き出しているのもいいですね。一見、利用されているようで、彼のほうが上手なんです。よくできた男・・・よくできた脚本です。制作年は1939年、この時代にはまだ、南北戦争の生き証人がいたという事、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の休戦時代のものであるということ。そう考えるととても貴重ですね。ハリウッド黄金時代の1960年代より20年程前に制作されたものなのに、それらの代表作と比較しても、まったく見劣りしません。恋の駆け引きも、セリフの表現も非常に単純ですが、何年経っても、何歳で観ても、観る人を惹きつける名作です。

[あらすじ]
舞台は1861年 南北戦争が始まる年。主役のスカーレットは、ジョージア州タラの大地主の3人姉妹の長女です。美しく社交的な彼女は、多くの男性を虜にしていたが、彼女が恋していたのは、ウィルクス家の息子のアシュレーだった。ある日、スカーレットは彼が、彼の従妹のメラニーと結婚すると知らされて動揺する。スカーレットの父親は「アシュレーでは、お前は幸せになれない」というが、そんなことなど耳を貸さないスカーレット。本当は「メラニーなんかよりも、自分の事を好きなはず、アシュレーに告白すれば、メラニーとの結婚を思いとどまるだろう」、と考えた。こうして、スカーレットは、二人の婚約発表の日、彼に想いを打ち上げた。しかし、彼女の思惑は外れてしまう。スカーレットはアシュレーが部屋から立ち去った後、怒りに任せて、近くにあったものを投げつけた。すると、投げた先の影から、素行が悪いと噂の「レット・バトラー」が現れた。彼に何もかも聞かれていたのだ。レッドは言う。「君は僕に合いそうだ」

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ここの奴隷さんたちは生き生きとしています。   メラニーとの結婚の意思は変わりません。    昼寝していたらしい?レッド。

その日、南北戦争の勃発が伝えられた。そんなか、自暴自棄になっているスカーレットは、メラニーの兄から求婚をされると、愛情もなく受け入れた。メラニーが結婚し、追ってスカーレットもメラニーの兄と結婚。夫もアシュレーも戦地に出向いたが、スカーレットの夫はすぐに戦地で病死する。あっという間に未亡人となったスカーレットは、喪服で過ごす生活に我慢ならず癇癪をおこしていると、優しい母親が、アトランタのメラニーの元へ行ったらどうかと勧めた。メラニーのところに行けば休暇で帰還するアシュレーにも会えるという下心付きです。アトランタに行ったスカーレットは、募金運動の手伝いという名目でパーティ会場にいた。喪中なのでダンスは踊れないけれど自宅に籠るよりは楽しそうです。ここで、再びレッドと再会。スカーレットにとって、印象の悪いレッドは避けたい存在でした。このパーティは戦争資金を集める目的で行われていましたが、「好きな貴婦人と踊る権利」として、オークションが行われることになった。レッドはその権利を落札。スカーレットを指名した。喪中なので他の女性を、という主催者に、「受けます」と前に出るスカーレット。ダンスをしたくて、ウズウズしていた彼女は喪服で軽やかにレッドと踊る。

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努力が実り?二人は急接近。贈り物をもって訪ねてきたレッドに・・・。
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キス一つだっていやよ。と言いながら「キスミー」してるのはスカーレット。口と行動が反比例する女。引き寄せておいて、突き放すのがこの男。

アシュレーの休暇の最終日、スカーレットは再び彼に自分の気持ちを伝える。自分にできることはないかと、彼に問うと「メラニーを守ってやってほしい」と言って戦地に戻っていく。その後も、スカーレットはタラには戻らずアトランタで過ごしていた。スカーレットとメラニーは南部の為と、共に看護師として病院で働いていた。やがて体の弱いメラニーは妊娠し、身重になるとベッドで過ごすようになる。戦火は広がり、重症患者が多くなっていく病院で、スカーレットはこの環境に我慢できなくなり病院を跳び出した。アトランタの屋敷に戻り「タラに戻りたい!」というと、メラニーの叔父が「メラニーは出産前で動けないので、あなたはいるべきだ」と言い残し、彼女たちを置いてメーコンに行ってしまった。アシュレーに、「メラニーを守る」と約束してしまったスカーレットは、彼女を置いたままタラに戻ることができず、メラニーを恨んだ。「貴方さえいなければ!」

北軍が町に攻め込んでくるという一報が入ったとき、メラニーの陣痛は始まった。医者に頼むけれど、けが人は大勢いて出産などに立ち会える状態ではない。腹を括ったスカーレットは、黒人のメイドに手伝わせながら、メラニーの赤ん坊を取り上げます。そして彼女はレットに助けを求め、彼が用意した馬車で故郷タラを目指した。しかし、戦火の町を突破すると、スカーレットの何気ない一言で レットは南軍に入ると言い出し、止めるスカーレットを置き去りにして戦場に行ってしまった。

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南部男のプライド。子供の頃に「何もこんなときに・・」って思った事が記憶に蘇りました。 頼りにしているのに放り出す。だって、レッドだから。

初めてのキスで、ひっぱたく。だってスカーレットだから。
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スカーレットは自ら馬の手綱を引き、敵兵から隠れながらタラの地に向かう。途中でアシュレーの屋敷に寄ると建物は破壊され廃墟となっていた。さらに馬車を進め、ようやくタラの屋敷に戻ることができた。しかし、大好きな母は病気で亡くなっていた。建物は北軍が使用していたため無事だったが、貴重品も家畜も全て奪われ、無一文となっていた。こんな状況でも自分の身の回りの事さえ、やろうとしない妹たち。食べるものさえない。「これから、どうしたらいいの」と父に問いかけると、「お母さんにきいてみよう」と言う。気が触れてしまったのか・・。この瞬間、彼女が理解したのは「もう、誰も頼れない」ということだった。スカーレットは痩せた畑の根を齧り、「もう決して、誰も飢えさせません」と神様に誓う。

やがて戦争は終る。スカーレット達は自ら農作業をして、どうにか生活をしていた。そんなタラの家に、帰還兵が次々と立ち寄っていく。彼らに水を与え、食事を分ける。このことに不満を言うスカーレットに対し、メラニーは言う。「アシュレーだって、どこかの家で面倒を見てもらているかもしれない。」と。それに反論できないスカーレット。やがて、アシュレーも帰還。彼はメラニーと再会を喜び抱き合った。スカーレットも嬉しさのあまり、彼のもとに走り寄ろうとするけれど、黒人メイドのマミーに止められる。(奴隷解放後ですがマミーは変わらずここに留まっています)

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メラニーと共に、タラの家で生活するようになったアシュレー。再び彼を誘惑するスカーレット。結果は同じなのに凝りません。そんなある日、タラは重税を課されることとなった。当然、お金など払えないスカーレットは途方に暮れます。そして彼女は、またレッドを頼ることにします。レッドは、その頃、南軍に捕らえられていた。南軍のお金を隠しているのではないかとアトランタの拘置所に入れられていたのです。ポーカーでワザと、お金を落としている彼は拘束されているとはいえ自由だった。レットに会ったスカーレットは、裕福な生活をしているように見せかけて現れた。しかし、小作人のようになった手を見られ、嘘がバレて彼を怒らせてしまう。 しかもレッドは、お金を隠してあったが、現在の状況では、お金を動かせば北軍に没収されるという。そして、「残念だったな、恥をさらしに来ただけだ」と言い放つ。

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建物を出てアトランタの町を歩いていると、スカーレットは偶然に妹の許婚のフランクに再会する。彼が事業で成功しているのを知ると、スカーレットは「妹はもう、ほかの人と結婚するの」と嘘をつき、なんと、自分がフランクと結婚してしまう。

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うそつきスカーレットに、唖然とするマミー。思わず笑ってしまうシーン。アカデミー賞「ビックリしたで賞」あげたいと思っていたら・・私が驚いた。
この時代で・・黒人女子で。

妹は裏切られたと泣きますが、タラは手放さずに済みました。そして、フランクの事業を自分の手中に収め、アシュレーにも仕事は手伝わせて、男性顔負けにお金を稼ぐようになります。そんな或る日、彼女は1人で出かけているときに、難民に襲われてしまう。幸い大事には至らなかったが、その後、夫のフランクもアシュレーも、タラの男達全員が、「南部の男は淑女を守る」と、彼女に内緒でスカーレットの復讐に行ってしまったのです。情報を聞きつけたレッドが、彼らの後を追います。結果、アシュレーは銃で体を打たれ帰宅した。アシュレーを心配するスカーレットに、レッドが言う。「自分の夫の心配はしないのか?」 フランクは頭を撃たれて亡くなり、道端に転がっていると聞かされる。

再び喪に服す生活へ。スカーレットは酒を浴びるほど飲んでいた。ある日、彼女を訪ねたレッドに、スカーレットは、妹の恋人だったフランクを、自分が不幸にして殺してしまったと、後悔の言葉を口にします。「母のように優しい女性になりたかったのに」と。それに対しレッドは、「そう思っても同じこと繰り返すのさ、盗んだことよりも投獄されたことを後悔する泥棒と一緒だ」と、辛口なこと言いながら・・「今日の用件を言うぞ!」「お前なしじゃ生きていけん!」 レッドのプロポーズに対し、素直に答えるようなスカーレットではありませんが、徐々にその気にさせられて、結婚に同意。

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帰る時に、「キスミー」と言うスカーレットにレッドは「今日の分は終わりだ」って・・。「もう来ないで!」「参りますとも」 ユーモアがナイスなレット。

結婚した二人は、しばらくは幸せな暮らしをしていました。やがて、女の子を授かりポニーと名付けた。レッドは非常に子煩悩で、我が子に深い愛情を注ぐ。一方で、数年経過しても、スカーレットがアシュレーに想いを寄せていることを知ると、結婚生活も陰りを見せ始め、やがて彼はボニーを連れロンドンへ行った。けれど、ポニーがあまりにも母を恋しがる為、再びスカーレットのもとへ戻り、やり直そうとする。しかし運命は二人を深い悲しみへと突き落とします。ポニーは、落馬により命を落としてしまうのです。このことで、二人は互いに責め合っていると、スカーレットは階段から転落してしまい、お腹にいた二人目も流産してしまう。レッドは彼女が妊娠していたことを知らなかった為、二重の苦しみを味わう。さらに、この状況を心配したメラニーは、自分が病気であるにも拘らず、レッドを訪ね、彼を励ましたが、帰宅するときに突然倒れてしまう。彼女の命も僅かだったのです。死の間際にメラニーはスカーレットに「息子とアシュレーを頼みます」そして、「レットを愛してあげて」という遺言を残した。メラニーとの面会を済ませたスカーレットは、アシュレーに抱きつくと、その様子を見たレッドは、部屋を出て行く。レッドの心境など、まったく察していないスカーレットがレッドのところに行き彼と話をすると、メアリーとの話の内容を聞かれ、アシュレーのことを頼まれたことを、そのまま話してしまう。

「じゃぁ、アシュレー君と一緒になればいい。よかったな、願いがかなって」

スカーレットはショックを受けると同時に、このとき初めてレットを愛していたと気付くのです。しかし時すでに遅し。どう弁解しても、プライドを捨て、必死に許しを乞おうとも、レッドを引き留めることができませんでした。我が子を失い、お腹の子を失い、親友を失い、そして愛していた男も去った。泣き崩れる彼女は、ふと、思い出したのでしょう。戦争で多くを失い、それでも立ち上がり、生き抜くと、タラで誓った、あの日のことを。


「彼を連れ戻す方法は、故郷(タラ)に帰って考えるわ。明日に望みを託して」


もう、彼女の暗い未来など、想像できません。

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地から這いあがるようなその姿は、まるで荒れ地に咲く、一輪の深紅のダリアの花のイメージを連想させます。
拳を握りしめ、天を仰ぐ彼女を見て、失意の心を、奮い立たせられた人も多くいた事でしょう。 
私はやっぱりスカーレットが好きです。

風と共に去りぬ [Blu-ray]


[監督]
ヴィクター・フレミング
[出演]
スカーレット・オハラ ヴィヴィアン・リー (1967年7月満53歳没)
レット・バトラー クラーク・ゲーブル(1960年11月満59歳没)
アシュレー・ウィルクス レスリー・ハワード(1943年6月満50歳没)
メラニー・ハミルトン オリヴィア・デ・ハヴィランド(2016年現在99歳)
ジェラルド・オハラ トーマス・ミッチェル(1962年12月満70歳没)
マミー ハティ・マクダニエル(1952年10月26日満57歳没)当作品でアカデミー助演女優賞を受賞。黒人初のオスカー受賞者

★受賞★
[アカデミー賞] 作品賞/監督賞/主演男優賞/主演女優賞/助演女優賞/脚色賞/撮影賞/室内装置賞/編集賞/特別賞



◆内部関連記事◆

・よく比較される南北戦争中の恋物語→コールド マウンテン
・南北戦争中、兵士になつく狼&白人インディアン女性との恋物語→ダンス・ウィズ・ウルブズ
・スカーレットが踊ってもいいと言った→リンカーン
・戦争中でも決して女は殺しません。南部男の心意気→シビル・ガン 楽園をください
・アイルランドの移民、土地でマッチングする映画→遥かなる大地へ


★外部関連記事★

人生が知的で元気で前向きになる!!知識と思考と名言集/「明日」という日は?あなたはどう使う?有名なこのセリフ / 「風と共に去りぬ」の名言に学ぶ 自分の現実/運命に流されて、地面に突っ伏していつまでも泣き続けるのか、それとも、立ち上がって前に進むのか。我々の取るべき道は常に、二つに一つですよね。 たった一度の人生、泣いて生きるより Tommorw is another day.といって、立ち上がり、前を向いて歩いていきませんか?///////// 【風と共に去りぬのラストシーン】様々な運命の出来事の末、ヒロインは故郷に帰ってきます。彼女が見つめているのは、「明日」という希望の日なんでしょう。


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2013-06-27(Thu)

ガタカ/不適正者が得た愛と友情

1997年 アメリカ
ガタカ近未来を時代背景にした、深い人間ドラマ。遺伝子による格差社会が舞台であり、その中で懸命に夢をかなえようと、生きる一人の青年の物語です。

[あらすじ] 主人公のヴィンセントは、自然分娩で生まれた子供だった。未来の世界では、自然分娩で遺伝子操作を受けていない子は「不適正者」とされ、さらに彼は心臓疾患があり30歳まで生きられないだろうと言われていた。両親は、そんな彼に遊び相手をと、弟を望みます。ビンセントが健康でなかったため、弟の時には遺伝子操作を受けました。成長するにしたがってヴィンセントは遺伝子操作を受けた弟より、全てにおいて劣っていき、本人もそれを自覚していました。少年になった彼らは親に隠れて度胸試しにと海を遠泳し「先に泳ぐのをやめたほうが負け」と競うのですが、当然のようにいつも体力のないヴィンセントが負けるのです。

そんな彼には宇宙飛行士になりたいという夢がありました。そんな見果てぬ夢を見て、努力をするヴィンセントを、両親はとても不憫に思います。何故なら、「不適正者」はなれる職業に制限があり、どんなに努力しても不可能なのだから。

青年になったヴィンセントはある日、弟に海での度胸試しを挑みます。そして奇跡が起きる。彼は弟に勝った上、体力が尽きて溺れた彼を助けたのです。ヴィンセントは勝つはずの無い勝負に勝利した事で、自身の可能性を見出す。 「不適正者に対し、不可能とされる事は、実は真実ではない」 そう悟ったヴィンセントは育った我が家を出て行くのでした。

数年後ヴィンセントは仕事を転々としたのち、憧れの宇宙局「ガダカ」の建物内に入り清掃の仕事をしています。
モップをかけながら、切なく空を見上げる彼の目には、見果てぬ夢と、不可能がさらに現実的に映るのです。

それでも夢を諦められないヴィンセントは、「適正者の遺伝子情報」を売る仲介人を見つけ出します。そして、元オリンピック選手だったジェロームを紹介されます。彼は車いすに乗る障害者でしたが、海外で起きた事故で半身不随となったため、世間はそれを知りません。彼は今でも世間的には健常者の身でした。ヴィンセントがジェロームの遺伝子情報を提供してもらう代わりに、彼の家の家賃を払い生活を維持する契約を結びます。遺伝子情報が絶対的に正しいこの世界では、彼らの顔が違っても怪しまれないのです。ヴィンセントはジェロームとなり、彼の遺伝子情報「血液や尿」など携帯し、憧れの「ガタカ」に入社。面接は尿検査のみだった。入社したヴィンセントは、仕事にも一点のミスも出さず、徹底的に「適正者」を演じ、ガタカで着実に出世していく。さらに彼は「不適正者」の自分が出ないように毎晩爪や体毛、体の垢を入念にこすり焼却していた。やがて彼は土星の衛星「タイタン」への旅立ちが約束された。期間は1年間だ。

 そんな時、何者かによって上司が殺される。
 この上司は土星行きの計画を阻止しようとしていた。
 ヴィンセントは遺体の近くに自分の睫毛を落としてしまった。
 ここにいるはずのない「不適正者」のものを・・。

 窓からロケットの閃光を見上げているヴィンセント。気づくと
 同僚のアイリーンもそうだ。彼女も不適正者だった。やがて
 二人は惹かれあうようになります。土星行きが嬉しいはずなのに、
 地球を離れる事に未練を感じるようになるヴィンセント。

 やがて、ヴィンセントに危機が迫る。彼は犯人などではないが、
 落としたたった1本の睫毛のせいで追い込まれていく。
 ガタカに捜査官が入り社員さえ調べられることになる。
 それでもビンセントはこの局面を切り抜けていく。
 捜査官は偶然にも彼の弟だった。

やがて本当の犯人は捕まったが、弟は自分の兄のヴィンセントが、「ジェローム」としてガタカにいる事を知ってしまう。ヴィンセントは、自ら弟に会わなければならないと覚悟し、会う事を決めます。弟は兄が生きていたこと自体驚きではあったが、身分詐称をしていると追い詰める。ヴィンセントは「僕に何が出来るか決め付けるな」と涙ながらに弟に訴えかけ、以前の遠泳での勝負で「不適正者が適正者に勝った事をどう証明するのか!」と反論する。弟は不適正者が勝るなどない事を証明してやると、再び二人は海で遠泳での勝負をします。しかし、弟の体力も度胸もヴィンセントに及ばず、昔の「あの勝負」の時と同じく弟は不適正者の兄に助けられる結果となった。これはもう奇跡などではない。弟は「不適正者」が「適正者」に劣るという事を証明できなかった以上、もうヴィンセントを止めることなど出来なかった。遺伝子操作された弟には、何故そこまでやるのか「努力」する事の意味が最後まで理解することができません。適正者である彼らは、自分の能力の枠を超えて何かを成する事をしない。従って夢を持つこともないのです。

かつてジェロームもそうでした。彼が何故、何時も銀メダルだったのか、それは単純な事。何時も金メダルを取る選手がいたからだ。一線を越える努力無くて変化などあり得ない。不可能の壁をいくつも飛び越え続けてきたヴィンセントを目の当たりに見てきてるうちに、ジェロームはその意味を理解するようになります。そしていつしか、「ヴィンセントの夢は、ジェロームの夢」となっていた。

旅立ちのその日、ジェロームはヴィンセントに一生分の遺伝子情報を残して、自分は旅に出かけると言う。
そしてヴィンセントに感謝を告げる。体を貸した代わりに「夢」をもらったと。

「ガダカ」で宇宙船に乗り込む直前、システムが変わったと抜き打ちの最終の検査があったが、ヴィンセントは最後の理解者により宇宙に旅立った。同時間、ジェロームも銀メダルと共に旅立つ。ヴィンセントはジェロームから「宇宙で読め」と渡されたメモを広げるとそこには・・。


[あとがき]
この作品を見たことのある人は気づいているでしょうか。冒頭でヴィンセントは何時ものごとく爪を切り、体毛を剃り、体の垢を擦り、それを焼却しているシーンを。これは1年後、「タイタン」から帰ってきた、彼の日常だと。何故なら、いつも、ここにしかいるはずのないジェロームがいないから。
ジェロームのメモの意味は・・・↓(選択で見られますが・・作品を観ていない方はご自身でみてからのほうがよいかも)

メモではなく「髪の毛」が入っていました。すなわちジェロームの分身です。彼は同時間に自身を焼却して、彼の魂はヴィンセントのいる、宇宙船に乗り込んだのでしょう。彼は自殺をしたのではなく、友と一緒に宇宙へ旅立ち、自身の夢も叶えたと解釈できます。

機械的で冷たい未来設定ですが、「夢・努力・信念」の3つの言葉を連想する作品です。現実の近未来に遺伝子で詳細に個人の能力や性質が認識されるシステムが開発された場合、それが全ての人々の進むべき道を決定したり、職業だけではなく、あらゆるものの採用に不可欠となったら、おそらくとても合理的にはなるのだろう。この映画のように、新たな人種差別が始まるのかもしれません。決して空想世界の出来事などではない。けれど、この先どんな時代が訪れても、困難に立ち向かう様や、夢に向かって努力したり、信念を持ち進むことが、「人である事の素晴らしさ」だと、この映画は語りかけているように思えるのです。


ガタカ [DVD]

[監督]
アンドリュー・ニコル
[出演]
ヴィンセント       イーサン・ホーク
アイリーン        ユマ・サーマン
ジェローム        ジュード・ロウ
アントン(兄)       ローレン・ディーン
ジョセフ(宇宙局長)  ゴア・ヴィダル
ヒューゴ捜査官     アラン・アーキン
シーザー(清掃課長)  アーネスト・ボーグナイン
レイマー医師      ザンダー・バークレー
遺伝学者        ブレア・アンダーウッド
ジャーマン(仲介人)  トニー・シャルーブ


12393_20130626235829.jpg[土星の周りを廻ってる第6衛星「タイタン」]
この作品の製作当時、タイタンはガスに覆われているということだけで、その他の事はあまり解明されていなかった。映画の中ではガスに覆われ中はどうなっているか判らないとヴィンセントがワイングラスの中にタバコの煙を吹きかけて説明している粋な演出シーンがある。この作品の製作と同じ時期ぐらいの2006年7月タイタンはカッシーニ最新画像によりその姿を現した。

[以下カッシーニ最新画像:これがタイタンの桃源郷より一部抜粋]
2004年ハッブル宇宙望遠鏡が大気とかすみを見通す赤外線の目で、タイタンの地表に異常に明るい領域を見つけ桃源郷を意味する「ザナドゥー」という名前がつけられた。2006年、カッシーニがかいま見た桃源郷の風景。そこは驚くほど、私たちが見慣れたものだった。周りの黒い「海」に対して白く浮かび上がる大陸のようなザナドゥー(実際にオーストラリア大陸ほどの大きさ)は、大小さまざまな山に覆われている。規模の大きい山脈もあれば、隕石の衝突か氷火山の噴火でできたクレーターも見られる。そして山々の間を川が走り、ザナドゥーを囲む「海」へと注ぐ。もちろん、タイタンのような冷たい星に液体の水は存在しない。おそらくメタンだ。メタンの雨、さらにはメタンの泉がザナドゥーでは見られるかもしれない。一方、川が流れると地表を削るのは地球と同じだ。こうして削り取られた砂は、ザナドゥーの周りの「海」に流れ込む。ただし「海」は川とは違って、液体ではない。見渡す限り砂丘の広がる、砂漠のような世界だ。ザナドゥーの地表だけが明るい色をしているのはなぜだろうか。タイタンでは、暗いオレンジ色をした有機物のちりが空から降っていているために地表は暗くなっている。ところがザナドゥーでのみ、ちりが洗い流されているようなのだ。残された地表を構成するのは、おそらく水の氷。どうやら氷は密度がとても小さく、地下洞窟がいたるところにあるかもしれない。タイタンで生命を謳歌する存在はいそうにない。しかし、荒涼とした砂漠から切り離されたかのような、地球に似た桃源郷はあった。



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土星の惑星★「タイタン」メタンの海に生命!いる?40億年後は生命のパラダイス?
ちなみに地球人には微妙に物騒な話ですが、あと40億年ほど経つと太陽は星の寿命を迎えて膨張を始め赤色巨星と言う段階に移行すると言われています。無論、その頃には人類なんぞ存在していないでしょうし、地球にいたとしても多分もれなく蒸発して消滅してると思いますが(そもそもに地球そのものが太陽に飲み込まれてるかと)、この太陽の膨張により土星のタイタンが更に暖められると、そこは生物のパラダイスになっているかもしれないらしい・・・。

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