アクセスランキング
2013-06-27(Thu)

ガタカ/不適正者が得た愛と友情

1997年 アメリカ
ガタカ近未来を時代背景にした、深い人間ドラマ。遺伝子による格差社会が舞台であり、その中で懸命に夢をかなえようと、生きる一人の青年の物語です。

[あらすじ] 主人公のヴィンセントは、自然分娩で生まれた子供だった。未来の世界では、自然分娩で遺伝子操作を受けていない子は「不適正者」とされ、さらに彼は心臓疾患があり30歳まで生きられないだろうと言われていた。両親は、そんな彼に遊び相手をと、弟を望みます。ビンセントが健康でなかったため、弟の時には遺伝子操作を受けました。成長するにしたがってヴィンセントは遺伝子操作を受けた弟より、全てにおいて劣っていき、本人もそれを自覚していました。少年になった彼らは親に隠れて度胸試しにと海を遠泳し「先に泳ぐのをやめたほうが負け」と競うのですが、当然のようにいつも体力のないヴィンセントが負けるのです。

そんな彼には宇宙飛行士になりたいという夢がありました。そんな見果てぬ夢を見て、努力をするヴィンセントを、両親はとても不憫に思います。何故なら、「不適正者」はなれる職業に制限があり、どんなに努力しても不可能なのだから。

青年になったヴィンセントはある日、弟に海での度胸試しを挑みます。そして奇跡が起きる。彼は弟に勝った上、体力が尽きて溺れた彼を助けたのです。ヴィンセントは勝つはずの無い勝負に勝利した事で、自身の可能性を見出す。 「不適正者に対し、不可能とされる事は、実は真実ではない」 そう悟ったヴィンセントは育った我が家を出て行くのでした。

数年後ヴィンセントは仕事を転々としたのち、憧れの宇宙局「ガダカ」の建物内に入り清掃の仕事をしています。
モップをかけながら、切なく空を見上げる彼の目には、見果てぬ夢と、不可能がさらに現実的に映るのです。

それでも夢を諦められないヴィンセントは、「適正者の遺伝子情報」を売る仲介人を見つけ出します。そして、元オリンピック選手だったジェロームを紹介されます。彼は車いすに乗る障害者でしたが、海外で起きた事故で半身不随となったため、世間はそれを知りません。彼は今でも世間的には健常者の身でした。ヴィンセントがジェロームの遺伝子情報を提供してもらう代わりに、彼の家の家賃を払い生活を維持する契約を結びます。遺伝子情報が絶対的に正しいこの世界では、彼らの顔が違っても怪しまれないのです。ヴィンセントはジェロームとなり、彼の遺伝子情報「血液や尿」など携帯し、憧れの「ガタカ」に入社。面接は尿検査のみだった。入社したヴィンセントは、仕事にも一点のミスも出さず、徹底的に「適正者」を演じ、ガタカで着実に出世していく。さらに彼は「不適正者」の自分が出ないように毎晩爪や体毛、体の垢を入念にこすり焼却していた。やがて彼は土星の衛星「タイタン」への旅立ちが約束された。期間は1年間だ。

 そんな時、何者かによって上司が殺される。
 この上司は土星行きの計画を阻止しようとしていた。
 ヴィンセントは遺体の近くに自分の睫毛を落としてしまった。
 ここにいるはずのない「不適正者」のものを・・。

 窓からロケットの閃光を見上げているヴィンセント。気づくと
 同僚のアイリーンもそうだ。彼女も不適正者だった。やがて
 二人は惹かれあうようになります。土星行きが嬉しいはずなのに、
 地球を離れる事に未練を感じるようになるヴィンセント。

 やがて、ヴィンセントに危機が迫る。彼は犯人などではないが、
 落としたたった1本の睫毛のせいで追い込まれていく。
 ガタカに捜査官が入り社員さえ調べられることになる。
 それでもビンセントはこの局面を切り抜けていく。
 捜査官は偶然にも彼の弟だった。

やがて本当の犯人は捕まったが、弟は自分の兄のヴィンセントが、「ジェローム」としてガタカにいる事を知ってしまう。ヴィンセントは、自ら弟に会わなければならないと覚悟し、会う事を決めます。弟は兄が生きていたこと自体驚きではあったが、身分詐称をしていると追い詰める。ヴィンセントは「僕に何が出来るか決め付けるな」と涙ながらに弟に訴えかけ、以前の遠泳での勝負で「不適正者が適正者に勝った事をどう証明するのか!」と反論する。弟は不適正者が勝るなどない事を証明してやると、再び二人は海で遠泳での勝負をします。しかし、弟の体力も度胸もヴィンセントに及ばず、昔の「あの勝負」の時と同じく弟は不適正者の兄に助けられる結果となった。これはもう奇跡などではない。弟は「不適正者」が「適正者」に劣るという事を証明できなかった以上、もうヴィンセントを止めることなど出来なかった。遺伝子操作された弟には、何故そこまでやるのか「努力」する事の意味が最後まで理解することができません。適正者である彼らは、自分の能力の枠を超えて何かを成する事をしない。従って夢を持つこともないのです。

かつてジェロームもそうでした。彼が何故、何時も銀メダルだったのか、それは単純な事。何時も金メダルを取る選手がいたからだ。一線を越える努力無くて変化などあり得ない。不可能の壁をいくつも飛び越え続けてきたヴィンセントを目の当たりに見てきてるうちに、ジェロームはその意味を理解するようになります。そしていつしか、「ヴィンセントの夢は、ジェロームの夢」となっていた。

旅立ちのその日、ジェロームはヴィンセントに一生分の遺伝子情報を残して、自分は旅に出かけると言う。
そしてヴィンセントに感謝を告げる。体を貸した代わりに「夢」をもらったと。

「ガダカ」で宇宙船に乗り込む直前、システムが変わったと抜き打ちの最終の検査があったが、ヴィンセントは最後の理解者により宇宙に旅立った。同時間、ジェロームも銀メダルと共に旅立つ。ヴィンセントはジェロームから「宇宙で読め」と渡されたメモを広げるとそこには・・。


[あとがき]
この作品を見たことのある人は気づいているでしょうか。冒頭でヴィンセントは何時ものごとく爪を切り、体毛を剃り、体の垢を擦り、それを焼却しているシーンを。これは1年後、「タイタン」から帰ってきた、彼の日常だと。何故なら、いつも、ここにしかいるはずのないジェロームがいないから。
ジェロームのメモの意味は・・・↓(選択で見られますが・・作品を観ていない方はご自身でみてからのほうがよいかも)

メモではなく「髪の毛」が入っていました。すなわちジェロームの分身です。彼は同時間に自身を焼却して、彼の魂はヴィンセントのいる、宇宙船に乗り込んだのでしょう。彼は自殺をしたのではなく、友と一緒に宇宙へ旅立ち、自身の夢も叶えたと解釈できます。

機械的で冷たい未来設定ですが、「夢・努力・信念」の3つの言葉を連想する作品です。現実の近未来に遺伝子で詳細に個人の能力や性質が認識されるシステムが開発された場合、それが全ての人々の進むべき道を決定したり、職業だけではなく、あらゆるものの採用に不可欠となったら、おそらくとても合理的にはなるのだろう。この映画のように、新たな人種差別が始まるのかもしれません。決して空想世界の出来事などではない。けれど、この先どんな時代が訪れても、困難に立ち向かう様や、夢に向かって努力したり、信念を持ち進むことが、「人である事の素晴らしさ」だと、この映画は語りかけているように思えるのです。


ガタカ [DVD]

[監督]
アンドリュー・ニコル
[出演]
ヴィンセント       イーサン・ホーク
アイリーン        ユマ・サーマン
ジェローム        ジュード・ロウ
アントン(兄)       ローレン・ディーン
ジョセフ(宇宙局長)  ゴア・ヴィダル
ヒューゴ捜査官     アラン・アーキン
シーザー(清掃課長)  アーネスト・ボーグナイン
レイマー医師      ザンダー・バークレー
遺伝学者        ブレア・アンダーウッド
ジャーマン(仲介人)  トニー・シャルーブ


12393_20130626235829.jpg[土星の周りを廻ってる第6衛星「タイタン」]
この作品の製作当時、タイタンはガスに覆われているということだけで、その他の事はあまり解明されていなかった。映画の中ではガスに覆われ中はどうなっているか判らないとヴィンセントがワイングラスの中にタバコの煙を吹きかけて説明している粋な演出シーンがある。この作品の製作と同じ時期ぐらいの2006年7月タイタンはカッシーニ最新画像によりその姿を現した。

[以下カッシーニ最新画像:これがタイタンの桃源郷より一部抜粋]
2004年ハッブル宇宙望遠鏡が大気とかすみを見通す赤外線の目で、タイタンの地表に異常に明るい領域を見つけ桃源郷を意味する「ザナドゥー」という名前がつけられた。2006年、カッシーニがかいま見た桃源郷の風景。そこは驚くほど、私たちが見慣れたものだった。周りの黒い「海」に対して白く浮かび上がる大陸のようなザナドゥー(実際にオーストラリア大陸ほどの大きさ)は、大小さまざまな山に覆われている。規模の大きい山脈もあれば、隕石の衝突か氷火山の噴火でできたクレーターも見られる。そして山々の間を川が走り、ザナドゥーを囲む「海」へと注ぐ。もちろん、タイタンのような冷たい星に液体の水は存在しない。おそらくメタンだ。メタンの雨、さらにはメタンの泉がザナドゥーでは見られるかもしれない。一方、川が流れると地表を削るのは地球と同じだ。こうして削り取られた砂は、ザナドゥーの周りの「海」に流れ込む。ただし「海」は川とは違って、液体ではない。見渡す限り砂丘の広がる、砂漠のような世界だ。ザナドゥーの地表だけが明るい色をしているのはなぜだろうか。タイタンでは、暗いオレンジ色をした有機物のちりが空から降っていているために地表は暗くなっている。ところがザナドゥーでのみ、ちりが洗い流されているようなのだ。残された地表を構成するのは、おそらく水の氷。どうやら氷は密度がとても小さく、地下洞窟がいたるところにあるかもしれない。タイタンで生命を謳歌する存在はいそうにない。しかし、荒涼とした砂漠から切り離されたかのような、地球に似た桃源郷はあった。



★外部関連記事★

土星の惑星★「タイタン」メタンの海に生命!いる?40億年後は生命のパラダイス?
ちなみに地球人には微妙に物騒な話ですが、あと40億年ほど経つと太陽は星の寿命を迎えて膨張を始め赤色巨星と言う段階に移行すると言われています。無論、その頃には人類なんぞ存在していないでしょうし、地球にいたとしても多分もれなく蒸発して消滅してると思いますが(そもそもに地球そのものが太陽に飲み込まれてるかと)、この太陽の膨張により土星のタイタンが更に暖められると、そこは生物のパラダイスになっているかもしれないらしい・・・。

スポンサーサイト
ブログ内検索
ブログ内ページランキング
外部アクセス元ランキング
プロフィール

ちゃのりん

Author:ちゃのりん
映画から歴史を探るのが好きです。
俳優&映画紹介と、ノンフィクション映画の実在の人物像も探ります。


★好きな俳優★

ジョナサン・リースマイヤーズ

ssssj.jpg


お気楽ブログ55011enn_20150420222943fef.jpg


アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
215位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
洋画
20位
アクセスランキングを見る>>

にほんブログ村 映画ブログ 外国映画(洋画)へ
にほんブログ村 歴史ブログ 世界史へ

新作映画情報「ぴあ映画生活」ドラマ
アクセスカウンター



RSSリンクの表示


お役立ち
ブログ翻訳
favorite
・★前田有一の超映画批評★

・映画ライター渡まち子の映画評

・死ぬまでに一度は行ってみたい場所

・イナダ・ラングエイズ研究財団(ILFAR)稲田頼太郎

・NPO法人イルファー稲田頼太郎
(One Coin のご寄付を!)

・薬屋のおやじのボヤキ

・世界飛び地領土研究会
・欧州:世界遺産めぐり

・不思議館 古代の不思議

・KIKIの今日

・面白いおすすめ映画20選!騙されたと思って観て欲しい【最新版】

・歴史上の人物の選択から自分の人生を考え直す

カテゴリ
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

アクセスランキング