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2015-08-05(Wed)

君と歩く世界/心閉ざす男が愛を乞うまで

2012年 フランス/ベルギー
君と歩く世界両足を失ったシャチの調教師の女性と、格闘が取り得の粗野な男との物語。飾り気のない素顔のマリオン・コティヤールが良いです。でも、それ以上に個性的な味を出していたのは相手方のマティアス・スーナールツでした。ベルギーの俳優で『ブラック・ブック』にも出演していたよう。填まってます。近年の、このようなヒューマンドラマの類の中では、かなり高評価したい作品。単に恋愛映画とは言い切れない感覚を齎していて、二人の心理が繊細に表現されています。心の傷、生活困、プライド、セックス。美化しないリアリティさに、気持を揺さぶられます。こんな中で二人は互いの距離を縮め、やがては同じ道を歩いていくのですが、そこにたどり着くまでの過程は、僅かな甘さもありません。 けれど、最後は言葉では言い表せない心地よさを残す作品です。

[あらすじ]
離婚し、無一文で5歳の息子サムを引き取ったアリ。仕事もなく姉アナを頼ってアンティーブにたどり着いた。弟と甥っ子を迎え入れたアナには、優しい夫がいたが生活は余裕がなかった。アリは直ぐにナイトクラブの用心棒の仕事に就きます。仕事の初日、暴力を受けていた気の強い女を自宅まで送り届けることに。彼女の名はステファニー。アリは彼女を、まるで「娼婦のようだ」と言った。ステファニーの自宅に着き、打撲した手を冷やしている時に、彼女が実はマリンランドのシャチの調教師だと知る。同棲していた男もいた。アリはステファニーに電話番号のメモを渡し帰宅します。ステファニーは好きな仕事をして、一緒に暮らす男性がいるにもかかわらず、満たされているようにはみえません。


ある日、ステファニーはショーの最中にステージが崩壊し巻き込まれて膝下からの両足を失います。生きる希望を失ってしまった彼女を友人は心配するけれど、沈んだ心を救うことは出来ません。退院し車椅子で動けるようになると、ビーチの前にあるアパートで自立の為に、一時的に仮住まいをはじめた。男は去り、無気力に過ごしていたある日、彼女はアリに電話をするのです。ナイトクラブの用心棒を辞めて、夜警の仕事をしていたアリは朝方ステファニーのアパートに向かった。彼が部屋に入ると、ステファニーはカーテンを閉め切り閉じこもっていた。そして、たいした話もしない。アリは自分が何故呼ばれたのか、聞こうともせずに、ステファニーを外へ連れ出します。そして「海で泳ぎたい」と言ってステファニーを誘いますが彼女は拒否。すると彼は一人でビーチに行って泳ぎ始めた。ステファニーは自分に対し、特別扱いも気遣いもしない、そんな彼の様子を見ていると、自分も次第に泳ぎたくなり、口笛でアリを呼び海に出してもらう。そして一人で泳ぎ始めると、久々に晴れ晴れした気分になったのです。 その間、アリはビーチで目を閉じて休んでいた。陸に上がる彼女の合図で、ステファニーを背負いビーチに戻る時に、ステファニーは「ありがとう」とつぶやいた。この日から、彼女のアパートの下のデッキに足を運ぶアリ。そして海岸に出て二人で過ごす不思議な日課が始まる。

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二人はいつものようにビーチで過ごしていた。アリは格闘技の賭博試合に出るという。金を得るためだ。ステファニーは「お金をあげるから出ないで」と止めたが、アリは言う。「君も魚の仕事は好きだろ」と。彼がお金の為だけに戦うのではないことを知ると、ステファニーはその試合について行きたいと言う。数日後、彼女が見たものは熱気に沸いた世界。「自分にできることはないかと」言うステファニーにアリの相棒のマルシャルは「女は邪魔だ」という。しかし意外にもステファニーは車の外の様子に、驚きと興味津々な表情をする。そして僅かに笑みを浮かべます。帰り道、賞金で、アリが玩具を買うのを見て子供がいることを知るステファニーですが、この時点でアリと関係している他の女性がいることを知りません。

ステファニーは義足をつけて歩くようになります。やがて互いの男女関係の話になると二人はとても正直で、アリには関係を持っている女性がいること、ステファニーは以前の自分がどうだったか、そして現在も自身の体が機能するのかなどと話す。するとアリの単純な言動から、彼女は驚きながらも、彼と関係を持ちます。但し身体を重ねても「キスはしない」と一線置きます。けれどステファニーは自分が思っているよりもアリに心を許していること、また健常者と変わらないことの嬉しさのためか、その表情は明るい。元気を取り戻していくステファニーはベランダから生き生きとした表情でシャチのショーのポーズをとります。さらに、マリンランドに行きシャチとコンタクトをとります。彼らには言葉など通じませんが、ショーは互いの信頼関係があってなせること。格闘試合で戦うアリをみて、それに共通するものを感じたのでしょう。彼女は水を得た魚のようです。

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ステファニーは「Ope」とコールします。そして、アリの家へ。もう例の女性はいません。彼女は、アリの息子と姉のアナに会います。

ある日の賭博試合。しかし今度は勝手が違うよう。殴られパニックになっているアリをステファニーは車の中から見据えていたのですが、突如、車から降り立ちます。金属で光る義足を晒し、大勢の男達の中を歩いてこちらへ向かってくる姿を見たアリのアドレナリンが爆発。彼にとってもステファニーが特別な存在になっていることを確信させます。この試合にも勝利し、車の中で興奮冷めやらないアリの隣でステファニーも満足気です。

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その日、祝杯を挙げるため3人はでクラブへ立ち寄る。しかし、アリはステファニーに先に帰ると告げると、そこで知り合った別の女を連れて出て行った。自分達の関係が、あいまいなためステファニーは感情を出すことが出来ません。さらに店で声を掛けてきた男が、彼女の足が義足と知るや態度を急変。何故急に謝ってきたのか、その理由を理解するとステファニーは、男の頭にグラスを叩きつけるのです。哀れみは、時に相手のプライドを傷つける行為であることを、その男はわかっていません。対等の立場で接するアリとの違いを、改めて見せられます。

翌日アリはアパートの下のデッキに来ています。ステファニーは昨夜の事で、はじめて感情を出し、自分が「なんなのか」と気持ちをぶつけますが、アリはステファニーが自分にとっての「何か」ということを言葉にせず、ただ「オレはOPE」(やりたきゃ対応可能)だという。こんな無骨な男に対し、ステファニーは呆れた顔をしながら、今にも泣きそうな表情をしますが、カメラはその後、彼女の後姿だけを撮ります。同時に、このシーンは彼自身が、愛を表面化させることに怯え、無意識のうちに感情を殺しているようにみえます。

賭博試合でのアリの相棒マルシャルの普段の仕事は、店内で従業員を減らすためを目的とした、従業員を密かに見張る監視カメラの設置だったが、ある店舗で、これがバレたため、マルシャルは町から姿を消すという。そして自分の代わりにアリの試合を仕切ってくれとステファニーに告げた。それをアリが望んでいるということも。そして「君を信頼している」と言う。こうして荒くれ男の世界に飛び込んだステファニーはアリと一緒に賭博試合に臨む。熱気に沸いた男達の中で、彼女にもの珍しそうな視線が集中する。 そんなことなど、ものともせずにステファニーは試合を仕切る。もう、沈んでいた頃の彼女の面影はありません。

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物事が上手く運んでいるように見えたなか、マルシャルが設置した監視カメラで、期限切れの食品を持ちかえっていた事がばれたアナは職場をクビになってしまう。マルシャルの仕事に同行していたアリは、姉を失業に追いやった罪悪感とアナに激しく責められたため、サムを置いて消えるのです。誰にも、行き先を言わずに。

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数ヶ月後、アナの夫はサムをトラックに乗せてアリのところにやってきます。彼は北フランスのボクシングトレーニング施設にいて、公式戦の試合を翌月に控えています。アナは新しい仕事先がみつかり楽しくやっていると言う。状況は少しだけ良くなっているよう。僅かな時間 息子と氷の上で遊ぶアリ。しかし、数秒だけサムから目を離したときに事故は起きてしまう。アリは両手を血だらけにして骨折しながらも氷を叩き割る。

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愛するものを失うことへの恐怖と痛みが彼を変化させる。           ラストの映像 カメラフラッシュからホテルの回転ドアまで。

[あとがき]
この作品は、最初から、おおよそ予測どおりだろうと思われる、シーンはことごとく省略して進みます。観ている側は、その間のストーリーや結果を整理して、次のシーンにつなげて行きます。けれど不足しているという感覚はなく、自然にスクリーンに釘付けになってしまいます。物語の的は、アリの「心の解放」だと感じましたが、マリオン・コティヤールの表情の微妙な変化は、最初から最後まで見ものでした。彼女がこの作品を非常に良いものにしていると思います。ラストは、説明もセリフもなく、断片だけをスクリーンに映し出す。「ああ・・こうなったのか・・・・・・」と、思いながら、見事な脚本と作り手の手法にため息が出てしまった映画です。

君と歩く世界 スペシャル・プライス [DVD]

[監督]
ジャック・オーディアール
[出演]
ステファニーマリオン・コティヤール
アリマティアス・スーナールツ
サム/アリの息子アルマン・ヴェルデュール
マルシャル/アリの相棒ブーリ・ランネール
アナ/アリの姉コリンヌ・マシエロ
リシャール/アナの夫ジャン=ミシェル・コレイア
ルイーズ/ステファニーの友人 セリーヌ・サレット
[検索用]マリオン・コティヤール/マティアス・スーナールツ



★外部関連記事★

キネマ・アイランド/停滞から進歩へ。『君と歩く世界』感想。
停滞していたために、進歩していたステファニーとは距離が空いてしまった。だから「見捨てないでくれ」というセリフが出てきたのです。その距離は大事な人を失うには十分な距離。息子が3時間も生死を彷徨い、大事な人を失う恐怖を思い知ったいま、アリは自分の本心に気付き、愛の言葉が自然と口をついたのです。アリがステファニー同様進歩した結果として、あのラストシーンがあるのでしょう。やはり主人公はこの男だったようです。



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