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2014-05-03(Sat)

オネーギンの恋文/弄びの応報

1999年 イギリス
オネーギンの恋文彼には時間が必要だった。
事件は二人の間を引き裂き、永遠に結ばれることのない場所へと運んでいく。

1800年代初頭に生きたロシアの作家、「アレクサンドル・プーシキン」の小説、『エヴゲニー・オネーギン』が原作。レイフ・ファインズが主演し、彼の妹が監督、弟が音楽を担当し話題になった。不羈奔放の生き方を好み、他人の心を弄ぶ悪癖の為に、大切な友と心の奥では、本当は愛していた女性を失ってしまった男の愚かさを描いている。そして、女性の貞操がテーマになっている作品です。

ペテルブルグで享楽的で自堕落な生活をしていた男、エフゲーニ・オネーギン。彼は貧乏貴族であったが、田舎にいる叔父が亡くなり莫大な財産を受けついた。その屋敷に滞在中、森で出くわした男ウラジーミルと知り合う。オネーギンは彼を大層気に入り程なく友人となった。当初、オネーギンは受け継いだ田舎の土地を農奴制にし、さっさと都会に戻るつもりだった。 しかしウラジーミルと過ごす事が多くなり、なかなか戻らないでいた。そのウラジーミルの恋人はオルガ。 その姉が、もう一人の主役であるタチアナ。彼女は叔父の代からよく屋敷に本を借りに来ており、最初に彼女が屋敷に本を返しに来ていたときから、オネーギンはタチアナが気になっていた。彼女は農奴制に共感できない先進的な考えの持ち主の女性ではあったが、それでもオネーギンを一目見たときから心を奪われてしまう。そんな頃、ウラジーミルと何時も一緒にいるオネーギンは、ある日彼に、オルガよりタチアナのほうがいいと言ってウラジーミルを不快にさせた。

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自分の心に正直なタチアナは、自分の恋心を抑えることができずオネーギンに恋文を送った。しかしオネーギンは、率直な彼女の想いを受け入れることなどできず、彼女の申し出を断る。しかし、本心ではタチアナの事が気になっているため、なんとも中途半端な言葉で彼女を遠ざけます。「自分は結婚には向いていない、浮気はする、責任を負いたくない、そんな未来を君は望むのか?」と。この日はパーティーだったが、彼女を振ったそのすぐ後で、彼はオルガとダンスを踊った。ウラジーミルはオルガと次のダンスの約束をしていたというと、オルガはオネーギンともう一曲踊るという。嫉妬し怒りを抑える事ができないウラジミールはオネーギンに「オルガを誘惑するつもりか!」と言ったが、当然、彼にはそんなつもりはもうとうない。実に、このダンスはタチアナに見せ付ける目的の為だったのだから。悲しげな表情のタチアナをよそに、さらに、オネーギンはオルガがその間に、次の男と踊っているのを指し「ほらね、彼女は尻軽だ」とウラジミールに見せ付けた。
オネーギンの人の心を弄ぶ、このような悪戯が、後に彼を永遠に消えない後悔へと導いていくことになります。

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後日後、ウラジーミルはオネーギンに決闘を申し込んだ。彼は愛する女性を屈辱したオネーギンを許すことなどできなかった。事の深刻さを理解できていないオネーギンは、和解できると「甘い考え」をしていたが無駄だった。結果、決闘を避けることが出来ず、オネーギンの銃弾によりウラジーミルは命を落とす。オネーギンは彼を抱きかかえ泣いた。そしてタチアナたちの前から姿を消してしまう。

主人が不在になった屋敷で、タチアナはオネーギンが書いた自分によく似た女性の絵を見つける
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やがてオルガは別の男性と結婚。一方、タチアナは,愛する人と会えるまで結婚はしないと言っていた。そんな彼女に、彼女のおばあちゃんはいいます。恋愛がしたければ、結婚後に愛人を作ればよいと。この時代を象徴しているようなセリフです。恋をしないまま嫁いでいく娘達に、親や祖母たちは(密かに)こう言い聞かせてきたのでしょう。タチアナは言います。「結婚したら貞節を守ります。」しかし人生は残酷。当時の女性にとって適齢期に結婚できなければ果てはオールドミスか高級娼婦。タチアナは社交界にお披露目される事になります。

そして6年後、ペテルブルグの社交場でオネーギンは姿を見せた。そこで、タチアナと再会する。彼女は自分の従兄弟の妻となっていた。 自分の間違いを自覚し戻った彼の前に、出会った当時より洗練された姿のタチアナ。恋心を抱きながらも、性格の悪さから一度は彼女を拒絶したのにも関わらず、今度は人の妻となった今になって、彼女の愛を欲した。オネーギンはタチアナに手紙を書いて送ります。自分が間違っていたこと。彼女を本当は愛していたこと。しかし、このオネーギンの手紙を受け取ったタチアナは読むとその場ですぐに燃やしました。

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タチアナが手の届かないところにいってしまってから、ようやく目が覚めたオネーギン。彼が放浪の旅に出ていた6年間、何故、彼女の手紙を捨てずに持っていたのか。そしてペテルブルグでは、何故、荷解きをしていなかったのか。それは、彼が帰ろうとしていたところは、かつてタチアナがいた場所、田舎の屋敷だったから。このペテルブルグにタチアナがいることを知り、オネーギンは使用人に荷解きをさせた。そして手紙の返事を待った。けれど返事など届くはずもなく、とうとう彼はタチアナに会いたくて彼女の館を訪ね愛を告げた。しかし彼女は夫を裏切るつもりはないとはっきり意思を伝えた。このときタチアナは、今でもオネーギンを愛していると本心を明かしたが、結局のところ、数々の既婚女性を誘惑し一線を越えてきていた彼の「甘い常識」は、はかなくもタチアナの「信念の強さ」には勝てないのです。後悔に苛まれるオネーギンは、きっとこれからもずっとタチアナの手紙を捨てられない。そして彼は、この先も来るはずのない手紙を待ち続けるのです。

オネーギンの恋文 [DVD]

[監督]
マーサ・ファインズ
[出演]
エヴゲニー・オネーギン   レイフ・ファインズ
タチャーナ           リヴ・タイラー
ヴラディミール・レンスキー  トビー・スティーブンス
ニコライエフ公爵       マーティン・ドノヴァン
オルガ             レナ・ヘディ




決闘で死んだこの小説の作者のアレクサンドル・プーシキン

1799年から1837年にロシア帝国で生きた詩人、小説家。ロシア近代文学の嚆矢と言われている。地主貴族の息子として生まれ、母親側の祖父は、アフリカから連れてこられた黒人奴隷上がりのエリート軍人で歴史上に名を残した「アブラム・ガンニバル」である。プーシキンは子供の頃から詩人の叔父の影響で、文学に親しみながら成長していった。20歳になった頃には、その才能が文学界に広く知られるところとなった。その後、次第に政治色を帯びた詩を発表するようになり、当時の政府により、別の地域へ送られたり、作品の発表を禁止されたり、政府の監視で活動を押さえつけられたりと、窮屈な生活を余儀なくされていた。1830年、韻文小説『エヴゲーニイ・オネーギン』を完成させると、翌年の1831年にナターリア・ゴンチャロワと結婚。彼女のその美貌は当時モスクワ中に知られていた。二人は4人の子供を授かったが、そのうちの一人の娘「アルトゥング、マリア」の容姿が、同じ時期にロシア帝国にいたレフ・トルストイの作品の「アンナ・カレーニナ」のアンナのモデルとなっているといわれている。1835年、ナターリアはフランスから移住してきた美男子で放蕩者の「ジョルジュ・ダンテス」と知り合うと、ダンテスはナターリアに言い寄るようになる。1837年にダンテスは、ナターリアの姉エカテリーナと結婚したが、その後もナターリアに言い寄り続け、終に業を煮やしたプーシキンは決闘を申し込んだ。その結果、ダンテスの撃った弾を右腹部に受けて倒れ、その2日後に息を引きとった。偶然とは思えない彼の運命。『エヴゲニー・オネーギン』はプーシキンの未来を予見していたような、数奇な運命を感じる作品です。

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アレクサンドル・プーシキン            ナターリア                         アルトゥング、マリア

◆内部関連記事◆

同時代のロシア帝国の貴族社会/生き方は異なるけれど・・アルトゥング、マリアがモデルの→アンナ・カレーニナ


★外部関連記事★

ein journal/ベルリンのこと by オーレンカ/オネーギンの恋文
なぜ原題は《オネーギン》なのに邦題が《オネーギンの恋文》なんだろう、と思いながら見ました。最後に、かつてふった女性に改心(?)したオネーギンが恋文を書くという脚色が行われています。オネーギンと再会し、すでに既婚者となった彼女の心が乱れ、夜な夜な苦しんで、その苦しさを追い払うべく夫に抱きつく場面など、女心をすごく繊細に、嫌みのない美しさで描いているなぁと思ったら、監督が女性(主役レイフ・ファインズの妹マーサ)なのですね。これで納得しました。



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