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2014-12-24(Wed)

大統領の執事の涙/黒人なしで語れぬアメリカ史

2013年 アメリカ
大統領の執事の涙ホワイトハウスで34年間、執事をしていたユージン·アレンという一人の黒人をモデルにした物語。 冒頭で「実話に着想を得た」と紹介があり完全な実話ではありませんが、彼は黒人でありながらも最終的にホワイトハウスの執事の中の最も高いランクを達成したという人物です。作品を観て感じたのは、仕えるだけを合言葉にしている彼らが歴代の大統領に与えてきた影響は計り知れないものだったのだろうと想像します。大統領たちの個性と、主人公の家族をとおし黒人の「白人と同等の権利」を得るための戦いと、それに関連する事件や世情の変化を映し出している。マルコムX、キング牧師、マンデラ氏、そしてオバマ大統領まで。歴史上の出来事や人物に興味を抱かせる面白い作品です。

[あらすじ]
舞台は「ジョージア州のメーコン」からはじまる。奴隷時代には綿花栽培が盛んな地域でした。主人公は「セシル・ゲインズ」。彼は両親と綿花農園で綿花を摘んでいました。肌の色が白い母親は一見白人ですが、おそらく黒人とのハーフで「黒人とみなされた女性」。黒人と白人のハーフは大多数が色が黒いが、中には低い確率で肌の色が白い子が生まれるという。その母は農場主の息子に乱暴され、さらに父親を銃殺されます。農場主の女主人は不憫に思ったのか、彼をハウスニガーとして家の中で働かせるようになります。しかし、成長してセシルは気づきます。農場は廃れ、かつていた仲間の黒人達は今や土の中。そして「ここにいたら殺される」と。彼は、母親に別れを告げ農場をを出て行きます。彷徨い、仕事も食物もない中、出会った黒人の男の助けによりホテルに勤めることになります。仕事のノウハウを教わり自立。やがて家庭を持ち子供にも恵まれます。幸せな家庭を築き生活していましたが、ある日ホワイトハウスの事務主任に見出され執事として勤めることになるのでした。

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アイゼンハワー役はロビンさん            「クソガキ」とはケネディのことです。      大統領になるためだったら何でも言っちゃう。

最初に仕えた大統領は第34代大統領「ドワイト・D・アイゼンハワー」。(任期 1953年~1961年) 時はソ連との冷戦時代。配役はロビンさんです。この時期、アーカンソーのリトルロック各地で白人と黒人が同じ学校に通う「融合教育化」が進められるようになりましたが、黒人学生の登校を拒否する者たちに対し、大統領は軍を派遣します。セシルは国が初めて黒人の為に動いたと期待を膨らませます。一方、この頃の行政で代表的な出来事は「キューバ危機」。キューバ側の経済援助の申し入れの会談の際に、大統領はゴルフで(?)キューバーにかわりに行かせたのが、このときの副大統領で、後に大統領となる、「ニクソン」でした。彼は、キューバを「共産主義者」であると大統領に報告をし、アメリカとキューバが対立。そのニクソンは、この作品上でも姑息な奴で笑えます。主人公セシルの家庭では、長男のルイスが南部のテネシー州の大学へ進学。南部は未だ、黒人への人種差別問題が北部より根深く残っているのでセシルは反対しましたが、ルイスの信念は変わりません。世の矛盾を感じながら成長し親元を離れたルイスは、差別に抵抗するため、公民権運動に参加。ルイスたちは白人と黒人の席を分けている飲食店で、人種差別の撤廃を非暴力で求めるために行われる座り込みに参加した。これに当時、僅かだったとは思いますが、白人も参加していて、黒人と共に耐える姿も。こういう人たちもいたのだと感服。(ナッシュビル座り込み/1960年2月~5月) 

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次の大統領は「ジョン・F・ケネディ」 (1961年~1963年)。この若い大統領と、その家族をセシルは非常に好意を持って接していました。ケネディの娘で、まだ幼い子に「フリーダムバス」って何?とセシルは聞かれます。1960年末になっても、南部のバスは席も黒人と白人を分離していたのが当たり前でした。このバスは、公共交通機関の人種差別の撤廃の為と、白人と黒人の席を分けることなく、南部を移動した長距離バスです。これが度々白人に襲われる。映画の中では「KKK(クー・クラックス・クラン)」に襲われ乗車していたルイスは生死さえわからなくなってしまいます。彼は無事だったが、セシルがどれほど止めても学校にも行かず、公民権活動をやめない息子を許せません。一方、各地でデモが起り、公民権活動をしているセシルの息子ルイスが酷い暴力を受けていることを知り、ケネディは、これらの問題に心を痛めます。そして、彼は黒人と白人の平等化の具体的な法案を掲げます。しかし、知られるとおり彼は暗殺者の銃弾に倒れます。セシルは大統領の死に悲しみ泣き崩れるのです。

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父親の言うことを聞かないルイス        絶縁状態のルイスの事をケネディは知っています。 後に、この法案はジョンソン政権下で成立

3人目の大統領は「リンドン・ジョンソン」 (1963年~1969年)。活気のある人物です。執事の仕事も忙しそうです。ジョンソンは、「クロ」と「ニガー」を連呼します。ケネディ政権から引き継いだベトナム戦争への軍事介入を拡大させた人物。この頃ルイスは「キング牧師」のlところにいます。キング牧師が率いる、セルマで行われた黒人の選挙権を求めるデモ行進で、市と群の警察官が無抵抗の参加者を暴力で打ちのめし、その様子が報道されると、その凄惨さに、「血の日曜日」 (1965年)と呼ばれることとなった。 大統領はセシルに「息子はどうしてる?」と聞きます。セシルは「たぶんセルマに」と答えます。ジョンソン大統領は、選挙権を認めるよう動きはじめます。「クロ」と「ニガー」を連呼していたジョンソンが、僅かに変化しているように見えます。3年後の1968年、キング牧師が暗殺されると街は暴徒と化した黒人で溢れた。そして、国内ではベトナム戦争の反戦運動が活発化する。身動きが取れなくなった大統領は任期を終えた後、自ら政界を引退した。

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デモを止めさせる為の指示をトイレで・・      ベトナム反戦運動のデモ          父の仕事を誇りにしていないルイスにキング牧師は  
次は、いよいよ念願の大統領となった「リチャード・ニクソン」。セシルにとっては4人目の大統領です。ルイスは今度は、「ブラックパンサー党」に所属。彼女と共に活動に専念していた。セシルは未だ学校にも行かず活動をやめない息子をさらに突き放します。この党は、同じく公民権運動を指導していた「マルコムX」の暗殺後に活動を開始し、キング牧師が暗殺されてから活動に盛り上がりを見せていた。キング牧師の非暴力主義に対し否定的であったブラックパンサー党は、暴力主義的な動きを見せていたため、ルイスはその思想に共感できず離党する。同じ頃、ルイスのもう一人の息子、チャーリーは、自分もアメリカの為に戦うと、大学をやめベトナム戦争に出兵してしまう。ニクソンはベトナム戦争からのアメリカ軍の完全撤退を実現したが、チャーリーは撤退前に戦死してしまいます。ベトナムからのアメリカ兵の撤退と同時期の1972年、ウォーターゲート事件が明るみになる。不正が発覚したニクソンは辞任に追い込まれた。大統領任期中の辞任はアメリカ史上初めてのことであった。

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父の仕事を軽薄している息子に目が覚めるような一喝    弟チャーリはベトナムへ       事件でやつれたニクソンの往生際の悪さ

次はニクソンの辞任をうけ、選挙無しで副大統領から昇格した、ジェラルド・R・フォード大統領。任期は2年半ほど。ジミー・カーター(1977年~1981年)の大統領時代になると、黒人の環境はだいぶ変化しています。息子のルイスは下院議員に立候補。彼の当選はなりませんでしたが、そんな息子の姿をセシルと妻のグロリアはテレビで見守ります。長年分かり合えず、未だに修復できない父と息子の関係に心を痛めるグロリアは、セシルに息子への歩み寄りを望みます。

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セシルにとって最後に仕えた大統領。ロナルド・レーガンは、セシルをとても頼りにしています。大統領の信頼を得ていた彼は、ホワイトハウスの中で従事する白人と黒人の待遇の平等化も実現させました。さらに、大統領夫人に、晩餐会に「招待客」として妻を連れて出席するように言われ、夫婦は晩餐会に出席。長年の夢が適ったグロリアは喜びましたが、セシルは違いました。執事として仕事をこなす同僚を、「給仕される側」の目線から捉えることに・・。従事する彼らを見て、自分も「二つの顔を持って生きてきた」のだと途方にくれた。セシルは今も絶縁状態である息子が言った、「白人向けの顔」というものを間近で見、複雑な気持ちになります。さらに息子は犯罪者などではなく、アメリカを変えたヒーローだったということに気づいた。息子を理解しないまま、あまりにも長すぎた絶縁状態に彼は空しくなったのです。一方、レーガンは、この時期はまだ、反共産主義の名のもとアパルトヘイトを支持。マンデラ氏が敵ではないかと警戒していた。マンデラ氏の解放とアパルトヘイト撤廃の声が世界中で上がってきており、アメリカの議会でもマンデラ氏の解放の為に、南アフリカへの経済制裁を行うという法案が上がっています。しかし、大統領は、議会がアフリカへの経済制裁を可決すれば、拒否権を行使するといいます。そんな会話を聞きながら、仕事に打ち込めなくなったセシルは退職することを決めます。そして彼が向かったところは、息子ルイスのところだった。ルイスはマンデラ氏の解放を唱えています。親子は和解し、なんと、セシルはルイスと一緒に、マンデラ氏解放のデモ行進に参加するという。そして・・・。

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鉄格子の中で二人はなんだか嬉しそう      二人とも年はとりましたが幸せそうです。    オバマ大統領

やがて息子ルイスも結婚し、夫婦は孫にも恵まれ平凡で幸せな生活を送ります。「しかし続きがあるのです」とセシルは続けます。「まさか、黒人が大統領候補になろうとは」と。二人は毎日選挙の日を楽しみにしていました。選挙の前日、妻グロリアは老衰の為、静かに息を引き取ります。選挙は見事、バラクオバマが勝利。アメリカ初の黒人大統領に就任します。年老いたセシルですが、その後、大統領に招かれ、ホワイトハウスの大統領室へしっかりとした足取りで向かうのです。

[あとがき]
物語は、黒人奴隷?という不遇な子供時代から始まりますが、実は途中で矛盾に気づくのです。何故なら、リンカーン大統領の時代に憲法が修正され、奴隷が解放されはじめたのが1865年。歴代の大統領はバラク・オバマまでが登場する。普通に考えても150歳以上生きていないと、奴隷時代を体験してオバマに会うなんてありえないことです。最初はスクリーンから年代を見過ごしていたので、再び年代を見直してみたら、物語のはじまりは1926年。実に奴隷解放後から半世紀以上後の設定になる。つまり、あたりまえのように街に吊るされる黒人の死体や、いきなり銃で黒人を撃ち殺すことなど冒頭の黒人に対しての扱いは非現実的に思えるのです。この時代にはもう「黒人奴隷」はいないのですから。しかし、奴隷的な扱いの「農奴制」のような風習が残っていたようですので、農奴の扱いが実際にこのようなものであったなら、その説明が不可欠だったはずです。彼らを「奴隷」と誤った境遇に誤解させる冒頭の作りは決定的なミスだと思いました。いっそのこと、子供時代のことはバッサリ切り捨てて物語を作ったほうが良かったかもしれません。けれど、農場を出てからのストーリーは、そんなことなど、ふっとばしてしまう位、面白いのです。アメリカの歴史と公民権運動。物事は待っていればいい方向に向かうのではなく、行動して変えていくものなのだと改めて思う。彼の息子の活動に関しては、おそらく多くは脚色であろうと思われますが、家族の絆と夫婦愛の描き方が心情に訴えるとても良いものです。特に妻役「グロリア」が素敵でした。反対に、「あちゃちゃー」と思ってしまったのは、彼の同僚の、最後は一体何の話なのか判らなくなってしまうシモネタジョーク。これだけは流石にいただけない。このセリフを言っているのは、私は結構好きな黒人俳優で、CGジュニアでした。なんだかお気の毒。 こんなシモネタいらなかったです。この部分と、冒頭の作りが、もっとしっかりしたものであれば、アカデミー賞[脚本賞] あたりを受賞してもおかしくないはずだと思いました。子供達がアメリカ史を勉強する切欠となりえる、優秀なものだと思うのですが、この欠点さえなければと、勿体無く感じる作品なのです。

大統領の執事の涙 [DVD]


[監督]
リー・ダニエルズ

[出演]
セシル・ゲインズフォレスト・ウィテカー
グロリア・ゲインズオプラ・ウィンフリー
ルイス・ゲインズ(長男)デヴィッド・オイェロウォ
チャーリー・ゲインズ(次男)イライジャ・ケリー
アール・ゲインズ(セシルの父)デヴィッド・バナー
ハッティ・パール(セシルの母)マライア・キャリー
ハワード(セシルの隣人)テレンス・ハワード
キャロル・ハミー(ルイスの恋人)ヤヤ・ダコスタ
トーマス・ウェストフォール(地主の息子)アレックス・ペティファー
アナベス・ウェストフォール(地主の女主人) ヴァネッサ・レッドグレイヴ
メイナード(セシルの恩人)クラレンス・ウィリアムズ三世
カーター・ウィルソン(同僚)キューバ・グッディング・ジュニア
ジェームズ・ホロウェイ(同僚)レニー・クラヴィッツ
ドワイト・D・アイゼンハワーロビン・ウィリアムズ
ジョン・F・ケネディジェームズ・マースデン
リンドン・ジョンソンリーヴ・シュレイバー
リチャード・ニクソンジョン・キューザック
ロナルド・レーガン アラン・リックマン
オプラ・ウィンフリー/デヴィッド・オイェロウォ/イライジャ・ケリー/デヴィッド・バナー/テレンス・ハワード/ヤヤ・ダコスタ/ヴァネッサ・レッドグレイヴ/クラレンス・ウィリアムズ三世/キューバ・グッディング・ジュニア/ロビン・ウィリアムズ/ジェームズ・マースデン/リーヴ・シュレイバー/ジョン・キューザック/アラン・リックマン

◆内部県連記事◆

・奴隷解放といえばこの方→リンカーン ダニエル・デイ=ルイス /南北戦争の終結と奴隷解放
・レーガンが拒んだアフリカへの経済制裁は行われます。そして開放後のマンデラ氏が行ったこと→インビクタス/負けざる者たち
・人種差別により罪を着せられ約30年後に無罪で釈放された黒人世界チャンピオンとある少年の物語→ザ・ハリケーン
・チャーリーと同じように、大義を掲げベトナム戦争に志願した男の物語→プラトーン


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Fly on the Cloud! オータム マガジン/感想・映画「大統領の執事の涙」
「ホワイトハウスの執事になった黒人男の話かと思いきや、半分は息子の解放運動家の話だな。要するに黒人解放運動の映画だ」「それが面白いの?」「そうだ。なぜなら、過去のアメリカは今の日本と重なるからだ。けして可哀想な黒人のお涙頂戴の映画には見えない」「それはどういうこと?」「KKKみたいな差別運動している連中が今の日本にはうじゃうじゃいるってことだ」「なんてこった」「だからさ。ネットで中韓叩いて喜んでいる連中はあと数年で白いかぶり物で顔を隠して徒党を組んで襲撃を始めるぞ」「逮捕されちゃうよ」「大丈夫だ。政治家にも差別主義者は多い。彼らの影響圏内ではやりたい放題だろう」「それじゃ法治国家じゃ無いよ」「無論その通り。この映画でも【法律を決めても施行されない】と悩む大統領が出てくるわけで、結局は同じことだ。この映画は過去のアメリカを描いているが近未来の日本を描いているとも言える」



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2013-08-24(Sat)

ダ・ヴィンチ・コード トム・ハンクス

2006年 アメリカ
The Da Vinci Code数年前に観た作品ですが当時は大まかに理解した後、細かなことを考えませんでした。
先日、トムハンクスのプロフィールを投稿したところ、この作品はトムハンクスの「ハズレ」ではないかという家族の意見で、再び見てみることに・・。

結果、謎解きなのに引き込まれる要素がなかったから細かいことを考えなかったのだと納得しました。内容は極めて単純で、つまりは「マグダラのマリアの棺の争奪戦」です。棺は結局は見つからないのですが、ラストに主人公が残された最後のメッセージからひらめいてその場所が判ったところで物語は終了。ストーリー中の説明も、要らないと感じる箇所が非常に多く、お話は俳優のセリフのQ&A方式で進んでいき、暗号のアナグラムとフィボナッチ数列はいいとして、他はヒントが無く製作者?にしか、わかるはずのない自己中心的な答えと無理矢理なこじつけ。謎解きなのに、観ている側の推理する楽しさを残してくれません。。それでもこの作品をどうにか観られるのはトムハンクスはじめ主役レベルの俳優人達のおかげだと思います。ダヴィンチの謎への興味や出演俳優や撮影現場などの話題性で興行収入的には大成功ではありましたが、後に宗教的な表現などで様々な波紋を呼んだ映画となりました。

最初に戻りますが、ではこれはトムハンクスの出演作品の「ハズレ?」と聞かれると、そうとは感じられず。リー役の「イアン・マッケランファーシュ」とファーシュ警部役の「ジャン・レノ」と共に、こんな作品をよく引っ張ったなーという感想です。書籍のほうは世界的なベストセラーとなっているので、映画のほうはそれを上手く再現できなかったのかもしれませんね。


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今回改めてこの作品を観て、ちょっとだけ得しました。
最初に見たときは見逃してましたが「リーの執事役」の俳優さん。めちゃくちゃいい男ですね~新発見。

しかしこの方、自国でのテレビシリーズでの仕事が多く、日本で上映されてる作品にはこれ以外は登場していないので知名度がほとんど無いのが残念。若くはないですが再びハリウッドに登場して欲しいと思いました。

Jean-Yves Berteloot (ジャン-イブ ベルトロット) 
1958年生まれ フランス人俳優

おそらく気になっていた女性も多かったのでは?



ダ・ヴィンチ・コード 上・中・下巻 3冊セット
[監督]
ロン・ハワード
[出演]
ロバート・ラングドン   トム・ハンクス
ソフィー・ヌヴー      オドレイ・トトゥ
リー・ティービング    イアン・マッケラン
シラス           ポール・ベタニー
アリンガローサ      アルフレッド・モリーナ
ファーシュ         ジャン・レノ
ジャック・ソニエール   ジャン=ピエール・マリエール
アンドレ・ヴェルネ    ユルゲン・プロホノフ
レミー・リュガルテ    ジャン=イヴ・ベルトロット



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サルヴァスタイル美術館へご来訪ありがとうございます。
この美術館は、『ひっそりと隠れ家的な美術館を』とのコンセプトをもとに、各時代や様式を代表する絵画作品の展示や、絵画における主題や用語の解説などをおこなっております。■ 最後の晩餐 Ultima Cena (Cenacolo)1495-1497年 | 460×880cm | 油彩・テンペラ |サンタ・マリア・デレ・グラツィエ聖堂修道院食堂(ミラノ)

2013-04-16(Tue)

太陽の雫/あるユダヤ人一族の100年物語

1999年 ハンガリー
Sunshine.jpgハンガリーの激動の時代を生きた、あるユダヤ人一族の物語。
めまぐるしく変化する社会情勢と凄まじい政権闘争の波に翻弄された一族の栄華と衰退。
レイフ・ファインズが親子3世代3役を演じ、3代目のイヴァンが語り手となって物語は進む。

(エマヌエル・ジャネンソンの物語)
語り手イヴァンの曽祖父は「エマヌエル・ゾネンシャシン」エマヌエルは母と弟を養うため、12歳でオーストリア、ハンガリー帝国の村を出て仕事を探す。19世紀末、彼はブタペストで25歳で自分の家と酒造所を建て、酒屋をやっていた父親の形見の黒い手帳のレシピで秘伝の薬草酒を作りサンシャインの味と命名、彼は一代で財を築いた。やがてエマヌエルはローズと結婚。

(イグナツの物語)
グスタグとイグナツが生まれ、従兄弟のヴァレリーが養女に来て3人は一緒に育った。イグナツは優秀な判事、グスタグは医者、ヴァレリーは写真家となり、家業の酒作りを継ぐものは誰もいなかったが、曽祖父エマヌエルは彼らを誇りとした。

イグナツの出世話があった際にユダヤ名を改名する話が持ち上がり、彼とヴァレリー、グスタグの3人はハンガリー姓に改名。やがてイグナツはヴァレリーと結婚する。20世紀に入り、長男「イシュトバン」とイヴァンの父である次男の「アダム」が生まれる。イグナツは帝国に忠誠し仕えた。一方医者になったグスタグは共産主義。しばしば二人は対立し口論をする。

ある日サラエボでオーストリア皇太子が暗殺され、皇帝が宣戦布告、第一次世界大戦(1914年)が始まる。グスタフは従軍医局高官として、イグナツは判事として南部戦線へ出征。戦時下の中イグナツは皇帝に呼ばれた。皇帝との謁見は人生最大の晴舞台であった。イグナツは駐屯地で皇帝への忠誠を最優先とした判決を下したが、やがて皇帝崩御、同時に父エマヌエルも他界した知らせが届く。そして敗戦。

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家に帰った彼は4年ぶりに会った妻ヴァレリーから離婚をしたいと言い渡され彼女は出て行く。まもなくハンガリーで革命が起きる。
1919年共産国家が誕生。グスタフは新政府の幹部となる。一方、判事として皇帝の名で裁いたイグナツは逮捕され自宅軟禁状態となる。その知らせを受けたヴァレリーは家に戻ってきた。

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その数ヵ月後、軍事政権が共産党を駆逐。指導部のグスタフはフランスへ亡命。イグナツは共産主義者への報復裁判の執行を拒否し判事を罷免された。彼は健康が悪化しその年に亡くなる。後を追うように曾祖母のローズも亡くなる。

(アダムの物語)
語り手の父「アダム」。彼もユダヤ人の侮蔑を受けながら成長する。青年となった彼は兄の薦めでフェンシングをはじめ市民クラブに入会。
実力をつけていくが、勝利しているはずの試合もユダヤ人である為、いつも2位。それでも腕前を認められ、ある日将校クラブへの誘いがある。移籍するには改宗をしなければならなかった。アダムはカトリックへ改宗し将校クラブに入会する。

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アダムは改宗する為に訪れていた教会で見初めた女性「ハンナ」を情熱的に口説き結婚する。翌年、兄のイシュトヴァンも「グレタ」という女性と結婚。その後アダムは2年連続でチャンピオンとなる。そしてハンナとグレタは続けて息子を出産、ハンナとアダムの子が物語の語り手「イヴァン」兄嫁のグレダは結婚前からアダムに気持ちが移っていた。彼女は後にアダムを誘惑する。ある日ユダヤ人から金銭を積れて市民クラブに戻らないかと言われるが、アダムは「ユダヤ人は金にモノを言わせてる」と不愉快な気持ちをあらわにする。彼にとっては、ユダヤ人との交流よりチームと仲間が大切だった。そして、1936年ベルリンオリンピックでアダムは金メダリストに輝く。彼は純粋に国を愛し、ハンガリーのために戦った。そんな時、アメリカのフェンシングクラブの会長をしているモルナーという人物に会う。彼はアダムが独裁政治の広告塔となっており、勝つことで体制の犯罪に加担してると指摘。「ドイツの言いなりでは災難を招きます。アメリカにへ移住をするなら手を貸す、早く国を出ることだ」と忠告されるが、彼はチームとクラブや家族の事を考え、ハンガリーは出ないと断る。彼の予測より状況ははるかに悪化。ラジオから流れる政権放送ではユダヤ人の活動が制限される。差別はさらにエスカレートし、危険を感じていたブレダは国を出る事を提案するが、彼はハンナのことを考えて出国できないと言う。やがて出国を決めるが、既にピザが取れなくなってしまい国境は閉鎖される。
オリンピックから僅か3年後、第二次世界大戦が始まる。

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ハンガリーはドイツに占領され、ハンナと祖母ヴァレリーはゲットーへ送られる。ハンナは別の場所に移動させられそこで殺される。祖母ヴァレリーは屋根裏へ隠れ無事であった。アダムとイヴァンは収容所へ送られ、アダムはイヴァンの目の前で拷問により殺される。アダムは自分を「ハンガリー人のメダリスト」と答え最後まで自身を「ユダヤ人」とは認めなかった。イヴァンは、ただ見ていることしかできなかった。
兄のイシュトヴァンはグレタと息子と共に隠れていたが見つかり、川岸に連行され千人のユダヤ人と共に射殺、死体は川に投げ込まれた。
5日後、ロシア軍がブダペストを開放、第二次世界大戦が終結する。
(1941年の時点でハンガリー国内のユダヤ人は80万人、1945年戦後には20万人となった)


(イヴァンの物語)
ブタペストの自宅に祖母ヴァレリーが帰った。お手伝いのカトも戻ってきた。共産党はフランスに亡命していたグスタグを呼び戻し彼も長年ぶりに自宅に帰る。青年の時に家を出たグスタグは老人となっていたが政治に復帰。そして収容所から生き延びたイヴァンが帰る。アダムが殺されたことをを聞いたヴァレリーとグスタクは悲しみ、グスタグはイヴァンを警察に入れてファシスト狩りをさせたらどうかと提案する。

(1946年ハンガリー第二共和国が成立しハンガリー王国は消滅)
(1949年ハンガリー勤労者党の一党独裁体制である社会主義国家ハンガリー人民共和国となる。[ソ連の衛星国])
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グスタグの紹介で警察へ行ったイヴァンは偶然にも父と交流のあったクノールと出会う。彼は言う「非道な行為をしたのはドイツ人だけではない。ハンガリー政府がユダヤ法をでっちあげ、国民がそれに従った。その結果、お父さんは殺されたのだ」と。そうして、イヴァンはファシスト狩りをはじめた。戦後の共産政権時代、彼は確実に成果を上げていき、やがて少佐となり次期大臣候補を期待されていた。スターリンの誕生日を祝う会場で彼は演説で「共産主義によりナチの支配から解放された」と感謝の意を捧げる。その日、会場にいた人妻キャロルに声を掛けられ、自宅途中まで送るが彼女に誘惑されイヴァンは恋に落ちる。翌日、クノールからキャロルの夫は外務省勤務の将軍派で敵に回すと厄介と忠告される。 それでもイヴァンはキャロルとの密会を続けていた。彼はある日、キャロルに一緒に暮らそうと告げるが、彼女は夫に見つかると殺されるし子供も渡さないだろう。離婚は無理と言う。彼女は怯えていた。

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そんなある日イヴァンは将軍に呼ばれる。イスラエルからヤミ資金がまわっており、イスラエル・シオニストの陰謀だろうと言う。将軍は社会主義の転覆を謀った奴を起訴する事が君の仕事であり、「君の上司のクノールはそんなユダヤの筆頭だ」と告げた。イスラエルのスパイと話している映像の証拠があるので、彼を尋問して吐かせろと命令する。恩師であるクノールを尋問しなければならないことになったイヴァン。証拠がある以上尋問をしない訳にはいかずイヴァンはクノールに証拠を提示し問い詰めた。しかし、証拠は作り物のでっち上げ。彼は国家転覆の陰謀に関わったことはなく、さらに戦争中、彼もアウシュビッツ収容所にいた事を明かす。イヴァンはクノールが有罪の証拠がない事を報告するが将軍は殴って自白させろという。

そんな頃、高齢のグスタグが亡くなる。イヴァンと祖母ヴァレリーの二人だけになってしまった。

引き続きクノールの尋問を続けた彼の結論は、シオニストと国家転覆を謀った事実は皆無。でっち上げ情報だと報告すると、クノールを陥れたい将軍は怒り、他の者にクノールの尋問を変えた。イヴァンは罪のないクノールを殴ることなどできず、彼を尋問する役目から開放されたが、これによりイヴァンは警察を辞める決心をする。キャロルを呼び出し一緒に逃げてくれと告げるが、キャロルは拒否。「あなたを愛したのは間違いだった、私が安心できる冷静で強い男かと思っていた」彼女はイヴァンに別れを告げる。「冷酷な雌犬め、僕を愛したのは昇進目当てか、地獄に落ちろ」と、二人は互いに傷つけ合い別れた。

ある日の夜、孫イヴァンに祖母ヴァレリーは若き頃、自分が家を飛び出したときの話をする。「ある男性に恋をして家を出た。あなたのお爺様が期待したような人ではなかったの。彼に失望してしまった。私が恋した男性は情熱的で素敵だった。でも夫が軟禁されて私は舞い戻ったの。あなたも生きる喜びを見つけて」

その年の春スターリンが死去(1953年)。共産党内で権力闘争が始まる。スターリンの罪が暴露され、将軍が逮捕されたが、情勢は何も変わらずに共産主義の独裁政権は続いた。恩師クノールは名誉を回復したが、彼は亡くなりイヴァンは彼の遺体確認をする事になった。 彼は過酷な殴打により死亡していた。イヴァンは弔辞で彼に罪の償いの言葉を捧げ、独裁体制を告発する急先鋒になることを決心する。

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1956年10月、ハンガリーで革命が起きた。民衆は武器をとりソ連軍に立ち向かった。一旦は革命が成功したかに見えたが、10日後大量の戦車がなだれ込み人々は再び戦車と戦った。戦いはソビエト軍により鎮圧され、イヴァンは演説していたところをフィルムに撮られていたため、それが証拠となり5年間の刑を受け投獄される。彼は3年後に出所し自宅に戻った。自宅に帰ったイヴァンはヴァレリーに聞く。「何故僕らは共産主義に?」「私たちの運命よ、ユダヤ法 強制収容所、戦争から共産党が救ってくれた。政治に翻弄されたの。そんな中でも人生は美しい、その美しさを写真に撮りたくても、すり抜けてしまうの」「あなたは何をしたいの?」と問われ、イヴァンは「判らない」と答える。

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翌日、思い立ったように二人は酒のレシピを探しだした。はるか昔に屋敷のどこかにしまい忘れたレシピは、いつでも彼ら一族の「生きていく為のレシピのような存在」になっていた。そんな中、祖母ヴァレリーは倒れる。病院に運ばれた彼女は、名前を聞かれると「ゾネンシャシン」と名乗る。まもなく祖母ヴァレリーも亡くなる。イヴァンはとうとう一人になった。そして彼は「自分が何者なのか」さえ判らなくなる。

彼は家の中の物を全てを処分した。古い箱の中から手紙が見つかる。それは曽祖父からイグナツ宛ての手紙だった。一緒に足元に落としてしまった手帳があったが手紙に気をとられていた彼は気にも留めなかった。手帳は長年探していた薬草酒のレシピだった。薬草酒のレシピはゴミ収集車の中に放り込まれ消える。イヴァンは曽祖父の手紙の言葉だけを胸に刻む。それこそが生き方のレシピのようなものだった。
 
イヴァンは名前を変更した。「ゾネンシャシン」彼は初めて偽りから開放されたような気分になった。 
自分の人生の意味を見つけるためには、まずはじめにこうするしかなかったと自覚して。
君主制 ファシスト 共産主義 みんな露と消えた。家財も、家族も、肩書きも、何もない。

これからどこへ行くのだろう。そんなイヴァンの表情は明るく軽い足取りで人波の中に消えていった。

[あとがき]
3時間の大作です。時代は次々に変化し駆け足で物語が進みます。これだけの歴史と親子3代の人生の映像化なので面白味のある仕上がりではありませんが、長時間にも関わらず、全く長く感じられない作品です。レイフ・ファインズがそれぞれの個性を掴み、3役を見事に演じているところが見所です。彼はシンドラーのリストではユダヤ人を惨殺する側、当作品ではユダヤ人として惨殺される側を演じました。ユダヤ人収容所を舞台として、対照的な役柄をした役者さんは他にはいないのではないでしょうか。当時のユダヤ人の状況と、ハンガリーの歴史を知るにも良くできた作品であると思います。ここに登場する彼らは、ユダヤの誇りとかプライドとかを前面に出さずに国に同化しようと努力します。名前を変えて、改宗をして、国家に身を投じ、そしてユダヤと決別。それでも認められずに侮蔑され迫害される。どんなに努力をしても、どこにも身の置き場がないという不幸。そして収容所を生き延びても尚、世間は彼らに冷たく、イヴァンの上司がクノールの尋問命令を出すときに「ユダヤ人がいい仕事を独占しているからだ」と妬みと嫉妬の感情を生々しく口走るシーンは、当時の社会の描写であるという印象を受けます。そんな状況でも、彼らは希望を持ち懸命に生きるのです。そして恋もします。ヴァレリーが孫のイヴァンに自分が不倫をしていた話をしますが、この事が生きる喜びだったと解釈できるような話の纏め方をしています。親子3代、3人の男たちの女性との関わりは、決して幸せなものではありませんでした。きっとヴァレリーは、人生は不完全で残酷、完璧ではない。それでも「懸命に生きている姿が美しい」というようなことを伝えたかったのでしょう。最後のシーンで、軽やかに歩くイヴァンの姿は、現代人にぐっと近づいて見えました。何にも縛られず、自分の意思で自由に生きていく。映画の中の彼と同様、なんだか清爽とした感覚に浸りました。何をするべきか見失った時には、この作品を思い出して観てみるのも良いかもしれません。

太陽の雫 [DVD]

[監督]
イシュトヴァン・サボー
[出演]
イグナツ/アダム/イヴァン    レイフ・ファインズ
ヴァレリー (晩年)         ローズマリー・ハリス
ヴァレリー (若年)         ジェニファー・イーリー
グレタ                レイチェル・ワイズ
ハンナ               モリー・パーカー
キャロル              デボラ・カーラ・アンガー
グスタフ (若年)          ジェームズ・フレイン
グスタフ (晩年)          ジョン・ネヴィル
クノール              ウィリアム・ハート
ローズ               ミリアム・マーゴリーズ

★受賞★
1999年ヨーロッパ映画賞 男優賞(レイフ・ファインズ)/ 脚本賞受賞




ハンガリー動乱(1956年10月23日-1956年11月10日)/1956年のハンガリーの革命

1956年10月23日、ハンガリーの人々は政府に対して蜂起。人々は多くの政府関係施設や区域を占拠。それに対しソビエト軍は1956年10月23日と停戦をはさんだ1956年11月1日の2回、反乱に対して介入、多くの犠牲者を出した。

[経緯]
1953年にスターリンが死去、共産圏で非スターリン化が起こる。国民全体から不満が巻き起こっており、労働環境の改善や言論の自由を要求、学生も学ぶ環境の改善の為、独自の組織を設立していた。さらにソビエト共産党内部で行われたニキータ・フルシチョフスターリン批判演説が幹部たちに大きな議論を呼び起こしていた。1956年7月18日ソ連の圧力によりラーコシが党書記長が辞任。国内ではハンガリーの問題を見直そうとする動きが広がっていた。後任に、スターリン主義者のゲレー・エルネーが選出されると国民は反発、ブダペストで大規模デモが起こる。ソ連指導部は急遽、党幹部会のアナスタス・ミコヤンらの派遣を決定したが事態を収拾する間もなく蜂起が勃発する。ミコヤンらがハンガリーに向かっている間に、ソ連指導部はハンガリーに対する出兵を決定。ハンガリーから戻って真相を知ったミコヤンは、フルシチョフの自宅に押しかけ派兵の撤回を求めたがフルシチョフはこれを拒否した。

1956年10月23日、ゲレーの退陣を求めて学生たちがブダペストをデモ行進し多数の労働者もそれに加わる。夜になりデモ隊と秘密警察との間で衝突が始まると、ハンガリー勤労者党指導部は急遽、前首相ナジ・イムレを復職させる決定をした。翌24日、ナジは正式に首相に任命されたが、その頃ブダペストの町はすでに民衆とソビエト軍の戦闘状態にあった。その後ブダペストのソビエト軍も戦闘を一旦停止した。

労働者評議会と国民評議会が組織され、大多数の民衆は社会主義を維持しようとする政党を支持した。大衆はワルシャワ条約機構からの脱退をナジ政府に迫った為、融和的態度の限界に達したソビエトは再び武力により鎮圧することを決定させ、一旦は引き揚げた軍隊を再度ハンガリー領に侵攻させることとなる。10月25日、ナジは戒厳令を取り下げる。街の人々の中にはソビエト軍の戦車に近付き兵士と話し合う者もいた。説得に応じたソビエト兵らは、ハンガリー人を戦車に乗せて国会前広場へと移動し約700人が集まる。しかし突然発砲が始まり国会前広場は血の海と化す。約100人が死亡、約300人が負傷。この事件については秘密警察の発砲が原因であるとの見解もある。

ミシュコルツでは労働者によるストが起きブダペストでナジ首相と直談判をおこなった。ミコヤンの報告によると、彼とナジとの会談が行われ、その結果ソビエト軍の撤退が宣言された。10月29日には警察、軍隊、市民による国民防衛隊が結成。翌10月30日にはミコヤンが、ハンガリー軍に統制を任せるべきと報告している。これを受け、ソビエト軍撤退が開始。しかし同日午前9時頃、共産党ブダペスト地区本部で秘密警察隊員と民衆との間で衝突が始まり、建物から出る武器を持たない秘密警察隊員らが次々と民衆により射殺、その後も命乞いをしながら出てくる秘密警察隊員や勤労者党書記らがリンチされた挙句、遺体が街路樹にさらされるという事態になった。
この事件を聞いたミコヤンは翌日10月31日に反ソビエト活動の活発化を報告している。フルシチョフはチトー大統領との会談で軍事介入の可能性に言及し、ナジは中立を宣言したが、国連や西側諸国からの具体的支援はなかった。

11月4日に新たなソビエト軍部隊(戦車2500両・15万人の歩兵部隊)が侵攻した。

11月10日に労働者評議会や学生・知識人たちが休戦を呼びかけるまで、ハンガリーの労働者階級はソビエト軍との戦闘で重要な役割を演じた。11月10日から12月19日の間、労働者評議会は、ソビエトの占領軍と直接交渉し、結果として何人かの政治犯の釈放はできたが、ソビエト軍を撤退させることはできなかった。加えて、ソビエト連邦に支援されたカーダール・ヤーノシュが新しい共産主義政府を組織し、1956年以降ハンガリーを統治していくこととなった。散発的な武力抵抗やストライキは1957年の中頃まで続いた。

ナジはユーゴスラビア大使館に避難したが、安全確保を保障されて大使館を出たところをソ連軍に捕まり、ルーマニアに連行されて2年後に処刑された。政権の閣僚や評議会を指導していた多くの市民、およそ1200人がカーダール政府によって処刑された。このとき逮捕された政治囚は1963年までにカーダール政府によってほとんどが釈放された。この一連の戦闘の結果、ハンガリー側では死者が17000人に上り、20万人以上が難民となり亡命。ソビエト側は1900人の犠牲者を出した。

ハンガリーの歴史(Wiki)

★外部関連記事★

ものろぎや・そりてえる/読書と映画と、それから何を?/ハプスブルク帝国について
「太陽の雫」(1999年)という映画を観たことがある。あるユダヤ系ハンガリー人一家四代を主軸に第一次世界大戦から共産主義体制までハンガリー現代史を描き出した大河ドラマだ。初めの方、第一次世界大戦で軍医として出征する一家の長男がフランツ=ヨーゼフ1世に拝謁し、感激に打ち震えるシーンがあったのを覚えている。・・・第一次世界大戦後、民族自決論に基づいて中東欧で新しい国々が生まれた。ここにおけるナショナリズムは、具体的には一民族=一国家を目指す国民国家イデオロギーを意味する。中東欧の入り組んだ民族分布状況においてこの原則を適用しようとすれば、国境線の引き方、少数派への同化圧力など様々な軋轢が激しくなるのは明らかであった。チェコ国内ズデーテン地方のドイツ人問題はナチスの膨脹主義の口実となったし、ユーゴ紛争の火種の一因もやはりこの頃にある。第一次世界大戦を契機にオーストリア=ハンガリー、ロシア、オスマンといった帝国が相次いで崩壊したが、これは時代遅れとなった古い体制がほころびたというだけでなく、19世紀以来の国民国家イデオロギー(これは国家内の均質性を求める)が持つ強烈なエネルギーが“帝国”の政治的多元性を否定したという側面があったことも無視できない。

2013-03-12(Tue)

第9地区/人道的なエビのお父さん

2009年 アメリカ
District 9ちょっと変わったSF映画です。登場する宇宙人は攻撃的キャラではなく、彼らのほうが人間よりも道義的であったり、ユーモラスで憎めない。それに対し、地球人のほうは、救いようのない程、軽薄で薄情な人間ばかりが登場する。エイリアンが難民 それを抑制する地球人。娯楽映画でとても面白いのですが「アパルトヘイト問題」を取り上げている作品なので、黒人への権利の剥奪を、宇宙人に入れ替えて表現しており、少し考えさせられる作品でもあります。

[あらすじ]
ある日、ヨハネスブルグの上空に動かなくなった宇宙船が出現する。地球人が宇宙船に乗り込むと、中には栄養失調で今にも死にそうな大勢のエビ型宇宙人。「しゃーないな~」と人類は彼らを難民として宇宙船の下に「第9地区」を設けて、そこに住まわしている。~そして十数年後。
「エビエイリアンの居住区はもっと郊外へ移すべきだ!」という意見により超国家機関MNUはエイリアンの移住計画を進めることになる。主人公のヴィカスは、この会社に勤める移住計画の担当者です。そして彼の妻の父親はMNUの幹部。彼はなんとか仕事を成功させて、義父に認めてもらいたいと思っていた。しかし、彼は任務中に、あるエイリアンの家屋でうっかり黒い液体を浴びてしまう。すると次第に体調に異変が。鼻からは黒い液体、エイリアンの腕に変化し始める。そして、エイリアン化している事が知られると、幹部の義父の陰謀でヴィカスは拘束されてラボに送られる。エイリアンが作る「エイリアンにしか使えない強力な武器」が彼の腕で使えるかどうか実験の後、彼自身が解剖されそうになるが、必死に脱出し「第9地区」に逃げ込むのです。しかしすぐにMNUからの追っ手が迫る。

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エイリアンたちはキャットフードが大好き。ブラしてるけど♂。メスはいません。ヴィカスの妻「登場人物」のなかで彼女だけがまともです。

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ヴィカスも軽薄で薄情だけど、芯からは憎めない奴。コイツは悪か正義か。~ヤッパリね「サイテー最低」の大合唱。でも、この展開が面白い。

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エビのお父さん ちょっとアンタ本当に3年後にやってくるような気がするよ!

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もびるすーつっ!しかしこの男、予測不能!戦うのか!戦うのか!・・・ とりあえず親子は飛び立つことができます。 ・・・こんな男の妻への愛。

いいねーこんな展開、斬新(笑)



(息子)えびになっちゃったね~ 

(母)うん、えびになった。

(息子)このラストをどう思う?。

(母)うん、コレで良いんじゃない。

3年後にえびのお父さんが約束を果たしにやってきて人間に戻ってまだ奥さんが彼を愛していたら
                       そうしたら・・・・・・本当にはっぴぃエンドだね。そんな先を想像してしまうのでした。

第9地区 [DVD]

[監督]
ニール・ブロムカンプ
[出演]
ヴィカス・ファン・デ・・・メルヴェ シャールト・コプリー
他・全て無名の俳優人

※ノミネート
[第82回アカデミー賞]作品賞/脚色賞/編集賞/視覚効果賞




アパルトヘイト政策(「アパルトヘイト」とはアフリカーンス語で分離、隔離の意味を持つ)
南アフリカ共和国における白人と非白人の諸関係を規定する人種隔離政策のことを指す。

1948年に法制として確立され推進。[原住民土地法][バンツー自治促進法][バントゥースタン(ホームランド)政策]などがあり、1971年に実施されたホームランドといわれる「国」を10地区建設し黒人を居住させるというもの。地区は種族別に分かれており、それぞれ自治権を与え最終的には独立国としようとするのであったが、それは単に「名目上」だけのもので本当の目的は、黒人を他国の国民として扱うことで彼らから南ア市民権、参政権をなくし黒人を外国籍の出稼ぎ労働者として扱おうとするものであった。このうち4地区は「独立」させられるものの、国際的には独立国として承認されず、むしろ国際社会の非難を浴びることになる。

ホームランドは不毛の地でそこに多くの黒人が押しこめられた為、土地の過使用により環境が破壊。農業による生計が困難になりホームランド住民は南アフリカの都市部へ流出せざるを得なくなる。しかしホームランドから家族で都市へと向かうことは許されず黒人出稼ぎ労働者たちは家族を残し、ホステルと呼ばれる低料金の宿泊所で泊まりながら働く。ホームランドは名目上は独立国となったものの、その実権は白人、ひいては南アフリカ政府が握りホームランドが独自性を示す方策は限られていた。

「集団地域法」
人種ごとに住む地域が決められ、特に黒人は産業地盤の乏しい限られた地域に押し込められて、白人社会では安価な労働力としかみなされなかった。近郊で黒人が押しこめられた地域はタウンシップとよばれた。産業地区はすべて白人地区となり、黒人など非白人はその地域に住むことを許されず、タウンシップなどからの長く混みあう通勤をしなければならなかった。

「強制移住」
1960年代から1980年代にかけて、政府は定められた地域への非白人の移住政策を進め、推定350万人もの非白人がタウンシップなどに移住させられた。これらの強制移住において最も知られている事件は、1955年にヨハネスブルク近郊のソファイアタウンでおこなわれたものである。ここは以前からの黒人地区であり50000人が居住し活気にあふれた地区であったが政府がこの地区を接収し、ここにいた非白人は市の中心部から20km離れた場所へ移住させられ、元のソファイアタウンはトリオンフと改名され白人地区となった。このようなことが全国で行われた。

1994年4月に全人種参加の初の総選挙が行われ、憲法が制定。
ネルソン・マンデラが大統領になり、アパルトヘイトは撤廃された。




◆内部関連記事◆

アパルトヘイトを廃絶したマンデラ氏の人間的計算→インビクタス 負けざる者たち


★外部関連記事★

探偵小説三昧 ニール・ブロムカンプ『第9地区』 巧いなあ。こちらの予想を少しずつかわして、興味をどんどんつないでいき、ラストまであっという間に引っ張っていってくれる。SFものでは侵略者たることが多いエイリアンを、難民として扱い、さらには南アを舞台にしてアパルトヘイトとシンクロさせるアイディアが・・

2013-03-02(Sat)

ダンス・ウィズ・ウルブズ/生きる者たちが寄り添うということ

1990年  アメリカ
Dances with Wolvesケビンコスナー主演の自らが初監督で製作した作品。内容を知らずに観たので、南北戦争になぜダンスなのかと思っていたら、こういうことだったのねと納得。率直な題名をつけるとしたら「インディアンになった男」でしょか。『ラストサムライ』と『ポカホンタス』を連想させます。

[あらすじ]
1863年秋、テネシー州、南北戦争の激戦地。戦いの怪我で足を切り落とさなければならないと知り、自虐的になった北軍中尉のジョン・ダンバーは長時間にらみ合いを続けていた南軍の前に飛び出し自殺を目論むが運よく生き延びる。結果、南軍兵士達の注意を逸らし、その隙を突いた北軍は一斉に進撃し勝利した。彼は英雄として手厚く治療され、回復後に殊勲者として好きな勤務地を選ぶ権利を与えられた。

彼は失う前のフロンティアを見ておきたいとサウスダコタ州のセッジウィック砦への赴任を希望。当時の最西部、荒れ果てた荒野のその場所で、愛馬シスコと自給自足の生活を始める。ある日、彼に興味を持った一匹の狼がやってきた。次の日も、その次の日も。孤独なジョンは白い足のその狼を「トゥー・ソックス」と名付けた。徐々に、その狼との距離は近くなっていきます。ある日、彼は馬を盗みに来たインディアンを追い払います。そのすぐ後、荒野で怪我をしていた白人のインディアン女性を助け、彼らの村に彼女を返した。インディアンたちは何故、白人がたった一人でそこにいるのか、理由を探ろうとダンバーのもとへ。言葉の通じないインディアンとの交流が始まります。

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彼は村にも招待され、次第に彼らと親密になっていく。インディアンの中に一人北軍の軍服を着て行動する様は滑稽です。
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砦に戻った彼は今までにない孤独感を感じ・・・「2日が一週間に思える。新しい友達が恋しい、隣人なのだから明日は黙って尋ねてみよう」
1455632.jpg彼は“狼と踊る男”という名をもらいます。

やがて、インディアンに育てられた白人女性「拳を握って立つ女」と恋に落ち結婚。
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侵略してきた白人から彼らを守ろうとします。


この作品は生きる者たちの心の交流をメインにしたほんのりと心温まるハートフルストーリーでもあり、自然と共存して生きてきた先住民への行いやバッファローを絶滅寸前に追いやった事など、アメリカが過去に犯した過ちに対しての警笛のようでもあります。言葉が通じない人種や動物との心の交流が、暖かく表現されている事に気持ちが癒されます。ケビン・コスナーにとって初めての監督作品ですが、観る人を全く飽きさせることがない、とても良い作品でした。

※失敗談※インディアンの言語には日本語同様に男性語と女性語の区別があり、言語指導者が女性であったため俳優は男女問わず女性語の指導を受けてしまい、ラコタ語のわかる人にとっては大笑いする内容(男がオネエ言葉で喋るようなもの)になってしまったそうです。

ダンス・ウィズ・ウルブス [DVD]

[監督]
ケビン・コスナー
[出演]
ジョン・ダンバー中尉  ケビン・コスナー
拳を握って立つ女    メアリー・マクドネル
蹴る鳥           グラハム・グリーン
風になびく髪       ロドニー・A・グラント
ファンブロー        モーリー・チェイキン
ティモンズ         ロバート・パストレリ

★受賞★
[第63回アカデミー賞] 作品賞/監督賞/脚色賞/撮影賞/作曲賞/録音賞
[第48回ゴールデングローブ賞] ドラマ部門作品賞/監督賞/脚本賞
[第45回英国アカデミー賞] 作品賞/主演男優賞/監督賞/脚色賞/作曲賞
[第41回ベルリン国際映画祭] 特別個人貢献賞
[第15回日本アカデミー賞] 最優秀外国作品賞
[第65回キネマ旬報賞] 委員選出外国語映画第1位/読者選出外国語映画第1位

※ノミネート※
[第63回アカデミー賞] 主演男優賞/助演男優賞/助演女優賞/美術賞/衣装デザイン賞/編集賞
[第48回ゴールデングローブ賞] ドラマ部門男優賞/助演女優賞/音楽賞
[第45回英国アカデミー賞] 撮影賞



[スー族の歴史]
「スー族」はアメリカ合衆国北部中西部に住む3氏族(ダコタ族、ラコタ族、ナコタ族)からなる部族連合であり、19世紀末までは定住せず、夏はティピーに住んでバッファローの群れを追い、冬はウィグワムの「冬の村」に住むという、北部平原で最も勢力を誇った典型的な平原インディアンだった。17~18世紀にかけ、他部族との対立や白人の侵入が激化。徐々に西方の平原地帯へと追いやられ平原部族へと変わった。農業不可能な平原でトウモロコシ栽培の生活を捨て、完全な狩猟民族に変わらざるを得なかった。

18世紀にスペインから馬が大平原にもたらされると、スー族はホース・インディアンとなった。スー族は馬を使って大平原で略奪を行い、また他の平原部族と、栄誉あるスポーツとして「馬の盗みあい」を繰り返した。馬は貨幣のない社会で実質的に貨幣となった。

19世紀末になると他のインディアン部族と同様、白人による保留地政策により狩猟採集生活は禁止され保留地内での定住生活を強制され狩猟民族としての文化の数々がなくなる。保留地政策は南北戦争終了後には西部にも及び、スー族はこれに反抗。苛烈なインディアン戦争を戦った。さらに大陸横断鉄道が彼らの保留地を分断し平原部族の命の綱のバッファローが、戦略的に白人により虐殺され絶滅状態に追い込まれため狩猟が禁止される。また保留地定住の引き換え条件の年金(牛・穀物)の支給は、保留地管理官のサボタージュと横領により約束どおり支払われたことは一度もなかった。飢餓状態となったスー族は暴動を起こし陸軍が派遣され皆殺しにあうという繰り返しが「インディアン戦争」の実状である。

和平委員会は1868年のララミー砦での条約でスー族に対し現在のサウスダコタ州全域を覆う規模の広大な土地を「白人が入ることを許されない「スー族の固有不可侵の領土」として「偉大なるスーの国(グレート・スー・ネイション)」を保証した。この広大な領地でスー族はバッファローを狩り、伝統の生活を営むことを公約で約束された。しかし、その数年後に「スー族の固有不可侵の領土」内のブラックヒルズで金が見つかると「偉大なスーの国」は白人に侵食され細分化、またたく間にスー族の土地は没収されていった。こうして「スーの国」は、不可侵条約を破った白人によって粉々に粉砕された。

20世紀に入り合衆国により農業を強制された平原のインディアンであるが、農務省はインディアンに対する農業支援を怠り融資を行なわなかった。彼らの農業(おもにトウモロコシ栽培)は、独自の自然観に基づき、農薬や化学肥料の使用を抑えたもので白人の農業と比較すると効率的ではなかった。融資を断られた彼らは自らの土地を売らなければならず集団訴訟を起こす。1981年に遡る米農務省の農業融資プログラムに対する彼らの代表訴訟と法廷闘争は、この30年に渡る訴訟の中で「白人はたやすく農業融資プログラムの恩恵にあずかれるのに我々インディアンは融資を受けられず、何かにつけ罵られる。これはインディアンに対する人種差別である」と法廷で主張した。原告たちの中には農務省にかけあっても、白人役人から「あなたがたインディアンはいつもただで物を手に入れてるんでしょう、砦に帰りなさい」と侮辱の挙句断られ牧畜業を続けるために牛を売り払い、負債を個人年金や社会保障費で補填しなければならなかった者もいた。

2010年10月ワシントンDCで農務省は全米のインディアン農業主に対し総額6800万ドルの損害賠償を行い
以後、決められた支援を行うことで原告団と和解。

「アメリカインディアン国民会議」のジェファーソン代表は、「この和解は一生懸命に働き成功するために、それでも機会の均等を捜さなければならなかったアメリカインディアンの農民と牧場主が待ち望んだ正義をもたらすものです」と述べている。 また、オバマ大統領はインディアンに対するこの和解が黒人に続き女性やヒスパニック系農業主からの同種の訴えに続くものとコメントしている。

※近年のアメリカ合衆国全体のインディアンの人口2.786.652名(2003年のアメリカ国勢調査による)




◆内部関連記事◆

1600年代初頭のアメリカ開拓時代・実写版ポカホンタス→ニューワールド コリン・ファレル


★外部関連記事★

今日の でかワンコ ラブラドールレトリバーのANDY君 今日も ゴロゴロ ゴーロゴロ。ダンス ウィズ ウルブズ
こんな広い場所に、だれもいないなんて、人口密度うす~。それなら、パパさんに、夜勤明けダンスおどってもらいましょ!

2012-11-18(Sun)

太陽の帝国/ウェールズの子守唄

1987年 アメリカ
HLP-11753s_20130916222718a6b.jpgこの作品は第2次大戦中の中国を舞台に、イギリス人の少年が親と離れ離れになり、力強く生きていく過程を描いたもので、昔から大好きな映画です。監督・製作はスティーヴン・スピルバーグ。主演の少年役がクリスチャン・ベール。彼は4000人の中から選ばれた子役でした。1997年ぐらいに初めてビデオでこの作品を見たときに、きっとこの子は大物俳優になると思い、日本語サイトで調べまくったのでした。しかし当時は見つからず、「もったいない、いま何しているのだろう」と気になり気になり十何年。ある日、再び彼を発見する。映画は沢山観ているけれど、俳優には全く興味が無かった為、キャスティングを見ることもなかった私は、2009年のターミネーター4まで彼の活躍に気づかなかったのです。彼を発見したのは映画館でした。「今度のジョン・コナー役、凄くいいじゃない。 あれ?なんだか見覚えが・・?」・・・・・と一瞬、息が止まった。「おっおっきくなってる!」と。クリスチャン・ベールを発見した感激とオドロキ。この頃になると日本語サイトでも「クリスチャン・ベール」で検索で出てくるわ出てくるわ。こんなことになっていたのねと、とても嬉しかったです。彼は、この作品の子役のあと少しお休みして勉学に励み、脇役や悪人などの下積みをしていたのです。アメリカン・サイコの異常者演じたのも彼でしたが、・・・過去に観ていたのに、気づきませんでした。しかも、既にパパ。 比較的、早い年齢で結婚していたので、小学生ぐらいの娘さんまでいました。「ジム少年」のまま時が止まっていた私にとっては、三重の驚きだったのです。よく考えたら、この作品をはじめて観たときには、既に彼はとっくに成人していたのです。当たり前でした。(恥ずかしい・・) そんなクリスチャン・ベールは、ターミネーター4の公開の翌年、オスカー俳優となり、「私の予想は当たった」と、勝手に自己満足に浸ったのです。
そんな、クリスチャン・ベールの子供時代の演技をまだ観ていない方。一見の価値有りですよ。

これは、実在するイギリスの小説家J・G・バラードの体験をつづった半自伝的小説の映像化。両親と共に中国に住んでいた裕福なイギリス人の子供ジェイミー(ジム)が主人公で、純粋な子供目線で戦争に翻弄される人々の光景が映し出されている。過酷な運命を懸命に生きていくジム少年に何度も泣かされました。「何度見たら泣かなくなるのだろう」と、かれこれきっと50回以上の再生。(ワタクシ息子がいるせいか、この年齢の男の子に弱いのです)泣きの「ツボ」にどっぷり填まっているところに、スクリーンに映っている本人はキャッキャッと笑っていたりする。子供ならではの逞しさと、環境に順応してしまう純粋さが巧みに表現されています。少し時を置いたと思われるシーンでは、僅かに身長が伸び、カタコトの日本語を喋るようになると、その成長振りに、見ているこっちの世界が明るく変化していることに「ハッ」とさせられる。こんな感覚になるのは子を持つ母親だけなのか、当時の友人たちにお勧めしてみたけれど極端に評価が割れた。どうも、万人が同じ感覚になるわけではないようだ。

 
 伊武雅刀が演じるナガタ軍曹に土下座するシーン。
 「ボクタチはトモダチデスヨネ センソウノセイ」
 
実はここのシーンだけで20回以上は泣けました。
 これだけ同じシーンで泣ける自分がおかしいのでは?と
 思ったほど。(流石に今はもう泣きません)しかし、このあと
 別のシーンでこれを再度やってくれちゃうところが子供らしい?
 いや(スピルのジョーク?)同じ手はくわねよ~的な日本軍人。
 観ているこっちは・・汗)「・・・」まぁいいか、子供だからね・・。

 なのに次に見たときにも同じシーンで涙が出る私って
 ・・・・・・・・・一体どうなってんの、私の脳・・・・・・・・・・

 大人と子供の狭間、微妙な年齢のこの少年は
 零戦を愛し、日本兵に敬礼し、零戦で帰りの分の
 燃料を積まずに飛び立つ日本兵を収容所から見守り
 清らかな歌声で送り出す。
 
 そんな彼の扱いに困惑するナガタ軍曹。

 冒頭から流れる主人公が歌う曲は、
 ←ウェールズ語の子守唄"Suo Gan"。

 ジェームス・レインバード(James Rainbird)による
 美しいボーイソプラノはよりこの作品を引立たせている。
 「我が子よ母に抱かれ眠りなさい」という内容の歌詞です。
 この曲は、様々なシーンで使われているが、左にUPした
 シーンが一番印象的です。

 言葉の通じない特攻隊員の少年(片岡孝太郎)との交流も
 和やかで心温まる、しかし、スピルは容赦ない・・・。
 日本兵としてガッツ石松さんが登場したり、運転手として
 登場した山田隆夫さんとの絡みなどはとてもコミカルだ。
 
 アメと鞭の使い分け、スピル技とでも言うのだろうか。
 しかし、突っ込みどころがひとつだけ、白い着物を着て
 踊る日本人登場?ここだけは失敗だね。

このような、中立的な観点で描かれている反戦映画は、多数の人に賛同されることは難しいようです。どちらの側にも立たないということは、どちらからも反感を買ってしまうということなので。この作品においては、著者であるJ・G・バラードが子供の頃に見た記憶を映像化したものと一歩引いて、国にとらわれず、広い視野で鑑賞して欲しいです。この作品以外でも、同じようなことがいえるのは2005年の「ミュンヘン」でしょう。素晴らしい作品であるのに、あまり評価されてはいません。しかしスピルはそれを承知で挑戦しているように感じます。これらの作品はきっと、少し先の未来で評価されるのではないかと思うのです。スピルバーグ監督にはこれからもその挑戦を続けてもらいたい。

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                      アメリカの空爆中に屋上に出て飛行機を見て興奮しはしゃぐジェイミー。
            「苦しみや悲しみが蓄積された中からでてしまう笑い」をスピルバーグは表現したのではないかと感じます。

最後のシーンで母親に抱かれた彼の安堵の表情は、何年経っても記憶に刻まれ忘れることが出来ません。
もし、「あなたにとって、宝物のような作品をひとつだけあげてください」と聞かれたら、私は迷わず「太陽の帝国」と答えます。

★太陽の帝国★

[監督]
スティーヴン・スピルバーグ
[出演]
ジェイミー      クリスチャン・ベール
ベイシー      ジョン・マルコヴィッチ
フランク        ジョー・パントリアーノ
ローリング医師  ナイジェル・ヘイヴァース
ビクター夫人    ミランダ・リチャードソン
ナガタ軍曹     伊武雅刀
特攻隊員の少年  片岡孝太郎
日本兵(上官)   ガッツ石松
日本兵(運転手)  山田隆夫



★内部関連記事★

・同じ時期に中国にいたイギリス人ジャーナリストの実話→チルドレン・オブ・ホァンシー 遥かなる希望の道


★外部関連記事★

●太陽の帝国のスポットを探る:井上@打浦橋@上海さんの旅行ブログ
「太陽の帝国」はスピルバーグの映画が有名ですね。真珠湾攻撃があった頃の上海が舞台の実体験の基づく小説です。作者はJ・G・バラードというイギリスのSF小説家です。主人公はジム少年・・・・J・G・バラード本人です。

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