アクセスランキング
2014-01-15(Wed)

アビエイター ハワード・ヒューズ/地球上の富の半分を持つと言われた男

2004年 アメリカ
アビエイター1900年の初頭に実在した富豪のハワード・ヒューズの半生を描いた作品。彼は18歳までに両親を相次いで亡くした。莫大な遺産を相続したハワードは映画製作と飛行機にその財産をつぎ込んでいた。飛行場を持ち、沢山の戦闘機を購入し、それを自ら操縦しながら撮影した映画「地獄の天使」を完成させます。パイロットとしても世界一周の記録を達成し話題の人物となっていた。彼の人生は順調に見えていたが、徐々にどうすることも出来ない自身の行動に悩むようになっていく。そんな主人公を演じるのはレオナルド・ディカプリオ。彼の演技の中で癇に障るような表情や、度を越した潔癖症や奇行ぶりが見どころ。メインキャストの俳優群もハイレベル揃い。そのなかでも個性の強い恋人役キャサリン・ヘプバーンに、ケイト・ブランシェット。実際のキャサリンの人物像ってこんな感じだったの?と興味をそそられました。

実はこの作品、以前観ていたものですが、当時は主人公のハワード・ヒューズが、ただ単に神経質で病的であり、飛行機の墜落シーンが見事だった。というぐらいの記憶しかなかったのです。何故なら、あまりにも現実離れしていたから。湯水のようにカネをつぎ込んだ映画の製作、飛行機にあれ程の莫大な個人資金を使うなど、破天荒すぎて現実とは考えもしなかったのです。私にとって、ハワードを知らないで観た、最初の作品は、「ただのフィックションの映画」でした。改めて、現実離れの事が、現実だったことに驚いたのです。作品中では数々の見事なシーンがありますが、墜落シーンの他にも、目が離せない迫力の飛行シーンが満載。青空を舞う様が爽快に撮られているシーンは観ていて気分がいい。特に、映画の後半に出てくる、ビル5階建てに匹敵する高さの飛行機「H-4 ハーキュリーズ」が水上から浮かび上がるシーンにはワクワクしました。1個人の現実と思うと、とにかくスケール大きいです。

そして、この映画はハワードが実在の人物と知ったことで「ただの娯楽映画」ではなくなりました。ハワードの行動は「奇行」ではなく「病気」として観ていることに変わったからです。現代であれば、その奇行ぶりは明らかに精神病と診断されているはずだろうけれど、この症状をこの時代に、それが病気と判断される程、医学は進歩していたのでしょうか?疑問です。そして、世間の目はどうだったのでしょうか?時代の寵児として世間からもてはやされた男が、自分の本当の姿をさらすことなど出来たでしょうか?人前に出る機会が多く難聴でありながら、補聴器をつけないところからも、プライドの高さと妥協を許さない彼の性格が想像できるように、それは皆無だったのではないのでしょうか。ハワードは年齢を重ねるごとにその精神の症状に苦しみ、そして、この映画の最後は「隔離の始まり」を思わせるシーンで幕を閉じます。

彼を知ってから観るのと、知らずに観るのとでは雲泥の差がある作品だと思います。欲を言えば、最後に彼の病気についての記述と晩年の彼の死、それはとても孤独なものでしたが、彼が後世に残したもの それが現在にどう生かされているのか、そんなナレーションがあったら、たとえハワードを知らなくても、最初に見たときのこの作品の印象が変わっていたのではないかと思うのです。

アビエイター 通常版 [DVD]

[監督]
マーティン・スコセッシ

[出演]
ハワード・ヒューズレオナルド・ディカプリオ
キャサリン・ヘプバーンケイト・ブランシェット
エヴァ・ガードナーケイト・ベッキンセイル
フィッツ教授イアン・ホルム
エロール・フリンジュード・ロウ
ブリュースター上院議員 アラン・アルダ
パンナム社長アレック・ボールドウィン
ジーン・ハーロウグウェン・ステファニー
ノア・ディートリッヒジョン・C・ライリー
ジャック・フライダニー・ヒューストン
ローランド・スイートウィレム・デフォー


[受賞]
第77回アカデミー賞:助演女優賞(ケイト・ブランシェット)撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞
第62回ゴールデングローブ賞:作品賞、主演男優賞(レオナルド・ディカプリオ)作曲賞
英国アカデミー賞:作品賞、助演女優賞(ケイト・ブランシェット)プロダクションデザイン賞、メイクアップ&ヘアー賞
第30回ロサンゼルス映画批評家協会賞:美術賞
第10回放送映画批評家協会賞:監督賞、音響賞



ハワード・ヒューズ(1905年12月24日 - 1976年4月5日)
18-85_20140115115915f33.jpg1905年、テキサス州ヒューストンに生まれる。父親は油田採掘のためのドリルの発明で巨万の富を得ていた。ハワードは父方の遺伝による難聴、母親の異常なまでの潔癖症を引き継いでいた。彼が16歳のときに母親が病死、その2年後に父親が急死する。資産は数千万ドルと評価されていた。ハワードは18歳でその全てを相続すると父親の会社を人に任せ、1925年ハリウッドに移住。自ら映画製作を手がけるようになり、そして飛行家(アビエイター)になりたいとその夢をかなえる。2作目に製作した1927年の『美人国二人行脚』では監督のルイス・マイルストンに[第一回アカデミー監督賞]をもたらした。その後、400万ドルの個人資産をつぎ込み、史上初の航空アクション映画『地獄の天使』を完成させる。映画は1930年に公開され、大ヒットとなるが、費用が掛かり過ぎていたため制作費を回収するには至らなかった。その後に製作した2作品もヒットとなり成功を収めた。

1932年航空会社TWAを買収しオーナーとなる。パイロットとしては水上飛行機で大陸横断飛行を成功させ1934年には全米飛行大会アマチュア部門で優勝。翌年にはヒューズ航空機制作会社を設立。自ら開発したH-1で陸上機のスピード世界記録/時速567kmを樹立した。1938年NY-パリ間を3日19時間で横断しそれまでの記録を半分にするという功績を残した。1939年には西部劇『ならず者 』を製作。途中から彼は自らメガホンをとっている。1944年「カリフォルニア映画社」を監督と共同で設立。同年 当時としては異例の大陸横断を旅客飛行機で挑みワシントン-ロサンゼルス間の飛行に成功する。1942年第二次世界大戦が始まると1800万ドルの政府資金援助を受け超大型飛行艇「H-4 ハーキュリーズ」の建造に着手する。後に政府からのこの受注にあたり不正があったとの疑いで院調査委員会に召喚され審問を受けている。この飛行艇は大戦の終結により購入契約が破棄され1度だけ飛行をしたあとはエバーグリーン航空博物館で展示されている。

数回の墜落事故による脳への損傷のせいか、遺伝的なものなのか、強迫性障害と思われる行動を繰り返していた。1944年頃から細菌を恐れるようになりホテルの室内で裸で過ごす生活を送るようになる。1950年代にはラスベガスのホテルを本拠にし、一時はフラミンゴ・ホテルの一翼を借り切って生活をしていた。1953年に保有するヒューズ・エアクラフト社の全株式を拠出してハワード・ヒューズ医学研究所を設立した。1957年、52歳で3人目の妻となる女優ジーン・ピーターズと結婚、この頃からインタビューをすべて拒否するようになり、公的な場に姿を現さなくなります。1966年、経営の混乱を受けTWAを5億ドルで売却。同年、ラスヴェガスのデザート・インを買収。最上階のスイートルームに居を構え滅多にホテルから出ることがなくなる。1960年代は、ラスベガスのカジノ、ホテル、土地その他を買収。個人資産20億ドルと推定される資産家となる。夫人とは離婚し、跡継ぎをもつこともなく、その後はバハマ諸島、ニカラグアなどのホテルを転々とし、細菌から隔離された室内の中で??彼の事業の拡大は続く。

1970年 エアウエスト航空を買収、1972年電話による記者会見を行った。これが世間の場に、その存在を現した最後となります。同年、父親の会社「ヒューズ工作機械」を売却。4年後の1976年、メキシコ・アカプルコのホテルに滞在していた彼は、チャーターされたジェット機でヒューストンの病院に搬送されたが病院に着く前に死亡した。70歳であった。死因は脳血管障害、心臓病などとされたが、指紋を取らなければ判別できないほどその容貌が変化していたと言われている。ヒューズの遺産は個人資産だけでも数十億ドルにものぼり、全て合わせると天文学的な額になった。400人もの人々が彼の遺産をめぐって争い、最終的には従兄弟や過去の伴侶達らに分配された。また、宇宙開発や医学の研究のために寄付された。この処理に20年近くの歳月を要したという。

1953年に設立された「ハワード・ヒューズ医学研究所」は現在、ビル&メリンダゲイツ財団に次ぐ全米第2位の慈善団体であり、イギリスのウェルカム・トラストに次ぐ世界第2位の医学研究財団となっている。ここの研究員から多くのノーベル賞受賞者を輩出している。

17-8.jpg
H-4 ハーキュリーズ

ハワード・ヒューズ―謎の大富豪 (1977年) (角川文庫)



★外部関連記事★

ランダム・マンダラ 強迫神経症があっても  その3 「アビエイター」
考えてみると、もし彼がこのような我の強い性格でなかったら、18歳で巨億の富を継いだとき、周囲に利用され、邪魔され、自分の夢を追うことなどできなかったでしょう。あるいは、有り余る富のために意欲をなくし、酔生夢死に終わったかもしれません。幾多の苦しみに悩みながらも、空を目指し、夢を追った生き様こそが、立派なのかもしれません。私はこの「アビエイター」から、そんなことを感じ取りました。強迫神経症があっても夢は追える。いや、何があっても夢は追えるのです。

スポンサーサイト
ブログ内検索
ブログ内ページランキング
外部アクセス元ランキング
プロフィール

ちゃのりん

Author:ちゃのりん
映画から歴史を探るのが好きです。
俳優&映画紹介と、ノンフィクション映画の実在の人物像も探ります。


★好きな俳優★

ジョナサン・リースマイヤーズ

ssssj.jpg


お気楽ブログ55011enn_20150420222943fef.jpg


アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
165位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
洋画
13位
アクセスランキングを見る>>

にほんブログ村 映画ブログ 外国映画(洋画)へ
にほんブログ村 歴史ブログ 世界史へ

新作映画情報「ぴあ映画生活」ドラマ
アクセスカウンター



RSSリンクの表示


お役立ち
ブログ翻訳
favorite
・★前田有一の超映画批評★

・映画ライター渡まち子の映画評

・死ぬまでに一度は行ってみたい場所

・イナダ・ラングエイズ研究財団(ILFAR)稲田頼太郎

・NPO法人イルファー稲田頼太郎
(One Coin のご寄付を!)

・薬屋のおやじのボヤキ

・世界飛び地領土研究会
・欧州:世界遺産めぐり

・不思議館 古代の不思議

・見ないなんてもったいない!【つまらない映画】の楽しみ方教えます

・KIKIの今日

カテゴリ
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

アクセスランキング