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2013-12-22(Sun)

インビクタス 負けざる者たち /マディバの人間的計算

2009年 アメリカ
インビクタス 負けざる者たち反アパルトヘイト運動を主導し、国家反逆罪として27年間に及ぶ獄中生活の後、南アフリカ共和国の大統領となったネルソン・マンデラ氏。彼はアパルトヘイト撤廃後の分裂状態にあった人々の心の歩み寄りを目指した。まず着目したのは、当時アパルトヘイトの象徴とされていた、南アフリカ共和国代表のラグビーチーム、「スプリングボクス」だった。マンデラ氏はキャプテンと交流を図り、チームの建て直しをしていく。そして1年後、自国で開催されるラグビーW杯で奇跡的な優勝を果し、同時にアフリカ中に人種の異なりを超えた歓喜のエネルギーをもたらしたのです。この物語は、マンデラ氏 (愛称:マディバ)の人間的計算によって齎された真実の物語です。


1990年、マンデラ氏は釈放。国内初の黒人大統領となった。初登庁の日、官邸内では黒人が大統領になった事で、前政権の白人官僚達は、今までどおりに仕事は出来ないだろうと、荷物をまとめ出て行こうとしていたが、マンデラ氏は彼らに、「新しい南アフリカを作るために協力してほしい。あなたたちの協力が必要だ」と呼びかけた。次に黒人だけの自身の警護に追加で白人警護員を任命した。納得できない黒人警護のリーダーにマンデラはこう告げる。「警護員は、大統領と共に国民の目に触れる。君らは私の理念の象徴だ」と。それでも「最近まで俺達を殺していた連中だ」というリーダーに、マンデラ氏はさらに「許しこそ最強の武器である」と彼を諭した。白人を歓迎しないのは彼だけではない。アパルトヘイトにより、迫害を受けてきた国中の大多数の黒人にとっては、彼らを許し受け入れ、共存していくなど到底出来ることではなかった。

白人と黒人の混合チームになった警護員達の初仕事は、ラグビー場で選手と握手をするマンデラ氏の警護だった。観客席に行って白人に話しかけるマンデラ氏に警護員メンバーは冷や汗する。チームは、当時惨敗続き。そしてラグビーも、「スプリングボクス」もアパルトヘイトの象徴であり、黒人には人気がなかった。マンデラ氏はラグビーW杯までどのくらいの期間があるかと尋ねる。

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ワールドカップまでの期間はあと一年

一方、国家スポーツ評議会ではアパルトヘイトの象徴である「スプリングボクス」のチーム名やユニフォームの変更をすべきと提案がなされ、決定される寸前のところ、マンデラ氏は急遽出向き、変更すべきではない事を理論的かつ、明確に説明した。アパルトヘイトの象徴だからこそ、「スプリングボクス」が南アフリカにおいて人種を超えて真の和解と団結を生み出す鍵となると彼は考えたのだった。

ある日、彼はキャプテンのフランソワ・ピナールをお茶に招く。そこで話したことは、試合の話などではなく、リーダーとして、どうしたらチームが持てる以上の力を引き出せるか、選手の士気を高めるにはどうしたらいいか、というものだったが、会話をしていくうちマンデラ氏は「他人がなした偉業に触れること・・・」と言い、獄中にいた頃に、優れた作品に巡り会えた。ヴィクトリア時代の詩・・・と言いかけてやめてしまう。官邸を出て、フランソワを車で待っていた妻に、「大統領はあなたに何の用だったの?」と聞かれ、彼は一瞬答えられなかった。

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面汚しと言われていた弱小チーム「スプリングボクス」は徐々に勝利を重ねていく。練習の合間をぬってマンデラ氏の提案によるキャンペーンにも廻った。キャンペーンは貧困地区の黒人の子どもたちにラグビーを教えるというものだ。この活動により、ラグビーを敬遠していた黒人達も、徐々にその楽しさに触れていく。当初は負担だと不満を漏らしていたメンバー達も、黒人からも支持されていく事を感じていく。

マンデラ氏はさらにラグビーチームのメンバー、一人ひとりを激励する為、練習場に向かった。このとき一枚のメモを受け取ったフランソワ、そこにははじめて会ったときに氏が伝えようとした一説の詩が書かれていた。まもなくして、ピナールとメンバーはマンデラ氏が投獄されていたロベン島に出向く事となった。そこでフランソワはマンデラ氏から渡された詩を思い起こしながら当時の彼の置かれた過酷な状況を思う。

チームは勝ち抜き、ついに決勝進出。全南アフリカ国民が見守る中、強豪ニュージーランド代表オールブラックスとの決勝戦に臨む。
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試合では躍動感が味わえます。ほとばしる汗や体と体がぶつかりあう音などリアルな迫力が伝わります。同時進行で観客やラジオをを聞いている人々が映し出されます。試合のラスト7分からは、スローで。

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子供の立ち位置が変化するのが楽しいです。最後は肌の色は関係なく歓喜に溢れるアフリカ中の人々。

[あとがき]
様々な人の立場とその目線から変わりゆく当時の様子を再現しています。スポーツの興奮と人生理念まで、とっても欲張りです。「憎しみからは何も生み出さない」というセリフのある映画は山のようにありますが、この作品のように、争いも戦いのシーンもないもので、その言葉を思い起こすものは、あまりないかもしれません。名曲「ジュピター」がアフリカ民族コーラスのバッグと共に流れるエンディング曲は人種の融合をイメージさせ、この映画にピッタリでした。分裂状態の人々の意識を変え、心をひとつにしたマディバの人間的計算。こんな戦略を、世界中のトップが手本としたならば、どんな風に世界は変化するのでしょう。クリントイーストウッドの監督の中では、数少ない「ハッピーエンド」で終わる作品。お勧めです。

インビクタス / 負けざる者たち [DVD]

[監督]
クリント・イーストウッド

[出演]
ネルソン・マンデラモーガン・フリーマン
フランソワ・ピナール            マット・デイモン
ジェイソン・シャバララ(黒人警護員)   トニー・キゴロギ
リンガ・ムーンサミ(黒人警護員)    パトリック・モフォケン
ヘンドリック・ボーイェンズ(白人警護員)マット・スターン
エチエンヌ・フェデー(白人警護員)   ジュリアン・ルイス・ジョーンズ
ブレンダ・マジブコ(黒人秘書)      アッジョア・アンドー
ネリーン(フランソワの妻)         マルグリット・ウィートリー
メアリー(黒人女性)            レレティ・クマロ
ジョエル・ストランスキ(選手)   スコット・イーストウッド(クリントイーストウッドの息子)
ジョナ・ロムー(ニュージーランド選手)  ザック・フュナティ(元ラグビー選手)








「インビクタス」とは
19世紀に生きた英国の詩人ウィリアム・アーネスト・ヘンリーの詩です。ヘンリーが26歳の時に病床で綴ったもので「運命に負けない不屈の精神」を主題にしたもの。彼は脊椎カリエスに犯されその結果片足を切断したが、それでも負けずにオックスフォードに合格しその後、詩人として活躍した。ヘンリーのこの詩が、27年間にも及ぶ牢獄生活で負けそうになるマンデラ氏の心と精神を救い支えたという。-その詩の内容とは-

「どんな運命であっても、それは他人に支配されたものではない。魂が征服されることとは怒り嘆くこと。その結果には恐ろしい死が待ち構える。罰により苦しんだとしても、自身がその運命の支配者である。自身の魂を指揮し超越する力で乗り越えよう。運命を受け入れながら、誰一人恨まず、嘆かず、屈しない自分でいられることを、全ての神に感謝する。」

マンデラ氏は「インビクタス」から生とその意味を見出し、長き独房生活の中で、アパルトヘイト根絶の為、諦めずに、屈せずに、白人の生活、風習、ありとあらゆる勉強をし続け、出所後、平和的功績を残しました。独房生活が長く、彼の人生のうちの僅かな年数しか活動できなかったことが、 本当に惜しく思います。

ネルソンマンデラ氏 
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  1993年ノーベル平和賞受賞者
  アパルトヘイト体制を終結させ
  新しい民主的な南アフリカの礎を築いた。

  

  [画像左]
  マンデラ氏とフランソワ・ピナール








                  
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モーガン・フリーマン、マンデラ氏を追悼…『インビクタス/負けざる者たち』でマンデラ氏役
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