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2013-09-21(Sat)

灼熱の魂 ルブナ・アザバル/戯曲『焼け焦げるたましい』

2010年 カナダ
Incendies.jpg社会的、歴史的背景が強い映画かと思ったらサスペンス的で人間ドラマ的要素のほうが強い作品でした。未見の方は詳しいあらすじと結末は見ないで視聴されたほうがいいかもしれません。なので、以下、簡単なあらすじになります。結末はご想像で、又は観てみて下さい。

カナダに住んでいた双子の兄妹はある日、母ナワルとプールサイドにいましたが、ある事をきっかけに母親の意識が突然朦朧となり、まもなく亡くなった。公証人が開示した彼女の遺書には「棺に入れず全裸でうつぶせの状態で埋葬し墓石はなし、私の名前はどこにも刻まないこと」というものだった。但し、彼ら双子の「父親」と「兄」を探し出し、夫々に手紙を渡すことができれば、自分の墓に墓石を置き、名前を刻んでも良いという内容だった。双子の兄弟はこのとき初めて、死んだはずと思っていた「父親」の存在と知りえなかった「兄」の存在を聞かされた。双子の兄シモンは母はイカレてる捉えていた為、彼らを探し出す事に消極的だった。しかし、妹のジャンヌは若き日の母の写真を頼りに亡命前にいたレバノンに、母のルーツを探るべき旅立った。そこでジャンヌが知った、母親の悲しく壮絶な人生・・・。

内戦時代より少し前のレバノン。宗教対立の中、母、ナワルは禁じられた恋により子を身ごもっていた。しかし彼女の兄弟に、ナワルと恋仲であった男は殺されてしまう。その後出産。ナワルの子は孤児院へ。この子が、彼らの「兄」である。村に居られなくなったナワルは祖母の言いつけにより村を出て大学へ行くが、すぐに内戦が始まってしまう。大学は閉鎖。山の中に非難を促されるがナワルは息子を探しに旅立った。しかしナワルが息子と会えることは無かった。孤児院は焼かれていたのだ。その後、ナワルは罪を犯し服役。ジャンヌは自分達が刑務所で生まれたことを知る。ショックを受けた彼女はシモンに知らせ、彼もレバノンに到着した。兄妹はさらにその先の物語を探っていくが、この調査の先にさらに驚愕の事実があった。

ナワルは息子は死んだという徹底的な証拠がないまま、社会民族党への怒りにより人を殺します。しかし、復讐をしたことで人生の歯車は狂い数奇な運命をたどることになります。登場人物の人間描写は、決して美しくはありません。行方がわからなかった「兄」という人物は、自身の母親を思う気持ちが表現されてはいましたが、彼は川に「いつものように」わが子を捨てようとしました。「痛いところ取り」が多すぎて、なんともいえない感情になります。そして題名から想像していたとおりのイメージの作品でした。映像は、瓦礫や赤茶けた土、ボロボロに剥がれた壁。けっして美しくは無いものが、絵画と間違えそうなぐらいに、美術的に撮られているところも多く、しっかりした作りのストーリー。
にもかかわらず、私は感情移入できませんでした。もし自分だったら?・・記憶を閉じ込めて墓場まで持って行くだろうと思うから。
(それじゃぁ小説にも映画にもならない・・・ですけどね)

墓石には名前が刻まれます。そしてその前に立つ男。

登場人物達はみな冷静です。視聴している我々のほうが衝撃を隠せないような作品です。運命のいたずらとはいえ、双子の兄弟が傷つくことを知りつつも、非常な事実と自分が母親であることを伝えたのは彼の傍に居てあげられなかった、母の懺悔の想いではなかったのかと感じました。男性には語ることさえ、許されないようにも思える難しい作品です。理解することなど到底不可能なのですから。

灼熱の魂 [DVD]

[監督]
ドゥニ・ヴィルヌーヴ
[出演]
ナワル       ルブナ・アザバル
ジャンヌ      メリッサ・デゾルモー
シモン       マクシム・ゴーデット
公証人ジャン    レミ・ジラール
アブ・タレク    アブデル・ガフール・エラージズ



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★Movies that make me think★灼熱の魂 (原題:Incendies) <2010/加=仏> ★★★★★
フランス語のカナダ映画はほとんど観たことがなく、英語のカナダ映画は割と軽いという印象のが多いので、本作もそんな感じかと気軽に構えていたら、とんでもない衝撃にガツンとやられた。 レバノン出身のカナダ国籍の演劇人ワジディ・ムアワッドの戯曲を映画化したもので、そのオリジナルの舞台は「焼け焦げる魂」というタイトルで日本でも上演されている。

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