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2013-09-11(Wed)

シャイン ジェフリー・ラッシュ/精神障害を持つ実在の天才ピアニストの物語

1996年 オーストラリア
20060317011432_201309100656006fa.jpg実在の天才ピアニストであり精神病患者である『デイヴィッド・ヘルフゴット』をジェフリー・ラッシュとノア・テイラーが演じ、ジェフリーが主演男優賞を総なめにした作品。高評価なのは知っていたがシンプルなタイトルとジャケットで何故か未見だったもの。物語は後半の折り返し地点のシーンから始まり、その現在と彼の少年期からの物語を交互に映し出していく構成で作られている。何故、天才と期待された彼が障害者となってから、こんなに孤独な状況になったのか?青年期まで一見、健常者と変わらなかったのに、これ程変化させる病気とは何なのか?という疑問を持ちながら鑑賞しました。

メルボルンに生まれたデイヴィッドは幼少の頃より父親からピアノを習っていた。彼の才能に気づいた音楽教師がその才能を育てたいと申し出ます。家庭が貧しく父はそれを拒否しましたが息子がラフマニノフと演奏することが彼の夢でもあり、結局父はその教師の元へ行き「レッスン代は支払わない」と言いデイヴィッドを託した。個人レッスンを受けるようになり、やがて青年になった彼は音楽コンクールで受賞。アメリカ留学の招待を受けます。しかし父親は反対し招待状を燃やしてしまいます。このときのデイヴィッドのショックは言うまでもありません。その後、再び大きな音楽コンクールで2位を獲得したデイヴィッドに、今度はイギリス留学のチャンスがめぐってきます。この時も父は反対しますが、あきらめきれなかったデイヴィッドは、二度と家族に会うことはできないと言い放つ父の言葉にも屈せずイギリスへと旅立ちます。

ロンドンに留学したデイヴィッドは有能な恩師にも恵まれ、ピアノの腕前も上達。青年として成長していく一方で彼の病気の兆候は少しづつ現れ始めていた。そんなある日、デイヴィッドのコンクールへの出場が決定する。彼は幼い頃から父親にいつか弾きこなすように言われていた、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を選曲した。厳しいレッスンを経て出場。精神を研ぎ澄まし素晴らしい演奏をした彼は、演奏終了後舞台で倒れてしまう。そして、次のシーン。診察台の上に横たわるデイヴィッドの頭には、脳波を調べる機材が・・。


 十数年後、デイヴィッドは精神病院にいた。医者にピアノを弾いたため病気に
 なったと診断されていた彼はピアノを長いこと弾いていなかったが、ある日、
 かつて彼のファンだったという年配の女性に引き取られます。しかしすぐに彼
 の行動を持余した女性は、彼女の知人(引受人)のアパートの一室に放りだす。
 その部屋には汚れて鍵盤があちこち剥がれたボロボロのピアノがありました。
 彼は再びピアノを弾き始めます。あまりにも長く弾いている為か、他の部屋の
 住人に罵倒されたりもします。そんなある日、一日中ピアノを弾いている彼に
 引受人は散歩を薦めます。その隙にピアノに鍵を掛けられてしまいます。
 散歩に出た彼はというと、迷子になり家に戻れなくなっていました。そして、
 彼はワインバーに入り込みますが、そこにいた女性が彼を障害者と理解し家
 まで送ってくれたのです。こんな出来事が彼の人生の転機となりました。 



部屋に帰るとピアノは鍵を掛けられ弾くことが出来ません。翌日、どうしてもピアノを弾きたい一心の彼は、例のワインバーに行き、客が大勢いる中、ピアノを勝手に弾き始めます。天才の弾くピアノ、あっという間に店はそれが評判となり大繁盛。話題となり新聞に彼の記事が載ります。それを見た父は一度だけ彼の前に姿を現します。親子の再会は、お互いに必要としているのに物悲しくあっけなく終わります。

20060317011432_201309110446478a8.jpg

ある日、店の女性の友人の占い師の女性と出会い、その彼女にプロポーズをします。彼女は婚約者がいましたがデイヴィッドを選びました。彼はありのままの自分で結婚の意思を伝え、人生を切り開いたのです。そして妻となった彼女の支えにより再び彼のリサイタルが開かれました。演奏を終えた会場にはかつての恩師や家族が大勢の観客と共に拍手を送っている。しかしそこには、もう父の姿はありません。
そして歓声を浴びる彼の目には涙が・・・。 



この作品の一番の見所は何といっても『ラフマニノフ』の演奏シーンでしょう。映像とピアノ音楽を融合させ彼の精神状態を幻想的に表現させる場面は芸術的です。作品の作りとしても『ラフマニノフ』の演奏で倒れてからその後の十数年がバッサリ省略されており、さらに細かいところの割愛も多く、無駄なシーンやセリフが一切ありません。しかし大事なことだけはしっかり伝えており、見ごたえがあります。ピンポイントとして、息子と父親のメガネを取り上げており、メガネが彼らのその時期の状況を表しているところも見逃せません。物語は父親との確執を主に取り上げられており、父親はアメリカ行きもイギリス行きも反対したことに対し、何故この親は息子の夢をかなえようとしないのかと疑問に思いました。金銭面の理由もあったのかもしれません。しかしそれ以上に彼の精神病が関係していたのかもしれません。父親は彼の精神病の予兆を察知していたようです。父は息子が成功する事を心の底から願いつつも、自分の手から離れる事が許せない心境と彼を世間にさらし本人が傷つくかもしれない恐れとの葛藤がそんな矛盾を生み出したのかもしれません。私には健常者である父親の精神のほうが病んでいるようにも見えました。それでも、彼にピアノを教えたのは父。ピアノがなければただの障害者で孤独な人生を歩んでいたかもしれない息子に父は最良のものを残しました。、精神医学が現在程、解明されていない当時「ピアノをやったから病気になった」と医者に言われるも、結局のところ、彼はピアノによって救われているのです。そして彼のようなケースは、親身になって保佐する人がついていなければ、才能は時の波に埋もれてしまう可能性もある事もこの映画は伝えているようにも思えます。同時に、精神障害者にとって本当に必要なものは何か。という事を考えさせられました。彼にとってはそれは伴侶であり彼女と人生を共にする事で、再び輝きを取り戻すことができたのです。
何かが欠落していて、生きていくのが困難なとき、それを補い合う人がいることの素晴らしさ、というのをつくづく感じた作品でした。

シャイン [DVD]
すべては愛に―天才ピアニスト、デヴィッド・ヘルフゴットの生涯

[監督]
スコット・ヒックス
[出演]
デイヴィッド・ヘルフゴット       ジェフリー・ラッシュ
デイヴィッド・ヘルフゴット(青年期)  ノア・テイラー
デイヴィッド・ヘルフゴット(少年期) アレックス・ラファロウィッツ
ピーター・ヘルフゴット(父)      アーミン・ミューラー=スタール
ギリアン                 リン・レッドグレイヴ
セシル・パーカー            ジョン・ギールグッド

★受賞★
[アカデミー賞] 主演男優賞(ジェフリー・ラッシュ)
[ゴールデン・グローブ賞] 主演男優賞(ジェフリー・ラッシュ)
[英国アカデミー賞] 主演男優賞(ジェフリー・ラッシュ)/音響賞



デイヴィッド・ヘルフゴット
20060317011432_20130911053743fb1.jpg 
  1947年 オーストラリアのメルボルン生まれ。

  留学したイギリスでは、ラフマニノフのピアノ協奏曲第三の演奏を含め大学で数々の賞を
  受賞。しかし彼の師匠のパースと作家キャサリンスザンナプリチャードの死亡によって
  病気が悪化する。(統合失調感情障害
  
  1970年に帰国し最初の夫人クレアと1971年に結婚。しかし結婚生活が破綻し、
  その後、精神病棟に収容され10年以上にわたり、向精神薬や電気痙攣療法
  などの精神療法を受ける。

  1984年妻のジリアンと再婚。~国内だけでなくヨーロッパでも演奏活動を行った。
  現在はニュー・サウスウェールズ州ハッピー・ヴァリーにジリアン夫人と暮らし、
  自宅「ヘヴン」にて演奏会を続けている。

 ※映画は脚色されており、事実とは一部異なる箇所があります。

デイヴィッドと妻のジリアン










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 可愛いヘルフゴットさんに注目               もう少し聞きたい?

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