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2013-09-03(Tue)

ミュンヘン エリック・バナ

2005年 アメリカ
Munich.jpg1972年に実際に起きた惨劇「ミュンヘンオリンピック事件」とイスラエル政府がこれに対して行った報復劇で、パレスチナの指導者の暗殺計画を映像化したもの。これはオリンピックの開催中にパレスチナの過激派組織、黒い9月(ブラック・セプテンバー)のメンバー8名が、オリンピック村のイスラエル選手団宿舎に侵入し、抵抗した2人を殺害。残りの9人を人質にした。彼らはイスラエルに収監中のパレスチナ人の解放を要求。ドイツ政府と交渉し旅客機を用意させたが、空軍基地に移動後ドイツ側は軍の滑走路で犯人たちを狙撃。銃撃戦となりテロリストは座席に縛られた人質をライフルと手榴弾で全員殺害した。イスラエル政府はこの報復の為、[モサド]のメンバーの中から極秘で構成した暗殺チームによる首謀者暗殺計画(神の怒り作戦)を実行する。作品はノンフィクション小説『標的は11人―モサド暗殺チームの記録』を原作としており、これが本当に実話?と思わせるような衝撃的なシーンを次から次へと展開していきます。

主人公はこの[モサド]のメンバーでイスラエル人の「アヴナー」。イスラエル政府は資金を提供するだけで、暗殺チームとは一切の関わりを絶った。連絡役はモサドの上官エフライムだけ。彼は実行部隊のリーダーとして、南アフリカ出身の「スティーブ」爆弾製造の「ロバート」現場の掃除係の「カール」文書偽造の「ハンス」の4人と共に、テロの首謀者とされる11名のパレスチナ人のリストを手に、自力で標的を探し、次々に計画を実行していく。アヴナーらの武器は銃と時限爆弾だ。そして彼らはフランス人のルイという男に接触し情報を得て作戦を進めてゆく。


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まず一人目「ワエル・ズワイテル」彼を待ち伏せし拳銃で射殺。二人目「ハムシャリ」は自宅の電話に爆弾を仕掛け殺害。
その後、アヴナーは妻と生まれたばかりの娘をアメリカへ呼び寄せる。

Tom Hanks

三人目は「フセイン・アバド・アッ・シル」ホテル滞在中の彼の部屋のベッドに爆弾を仕掛けるが、爆弾の威力が強すぎ、隣室の無関係の新婚カップルが負傷する。アヴナーも合図の為に隣室にチェックインしていたが、危うく負傷するところだった。爆弾はルイが手配した。彼への疑惑はあったが、彼無しではこの作戦は決行させることが出来なかった。続けてルイはリストの3人の居場所をアヴナーに売った。

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アヴナーはレバノンの首都ベイルートにあるアパートをイスラエル軍とともに襲撃。9月メンバーの3人「ケマル・アドワン」「カマル・ナセル」「アブ・ユセフ」の3人を殺害した。

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そして最重要の標的は首謀者「サラメ」であった。ルイの情報によりロンドンに向かい、計画を実行させようとするが直前に酔っ払いに妨害され断念する。ルイは「CIAがサラメと繋がっており作戦を妨害している可能性がある」と忠告する。この頃からアヴナーたちも命を狙われはじめていた。そして、ルイの情報によりアテネに次の標的がいることを知る。彼らはアテネに向かいルイより予め用意されていた荒れた宿の一室に到着するが、そこに他のグループがやってきて一時緊迫した状態となる。彼らもルイの手配によりこの部屋にきたという。アヴァナーらはETAやドイツ赤軍と名乗り相手はPLOで敵ではないと確認した彼らは、この部屋で一晩を共にする。当然、お互いの目的など伝えることはない。翌日アヴナーはこのパレスチナ人のアリから、ミュンヘンオリンピックの事件直後パレスチナの難民キャンプがイスラエルにより攻撃され200人が死亡したことを聞く。そして「国の無い、苦悩と悲しみ」を聞く事になる。彼らもまた、国の為に人生を賭けた若者だった。

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アテネでの標的は「ザイード・ムシャシ」ホテルで殺したフセイン・アバド・アッ・シルの後任だ。彼の部屋に事前に仕掛けた爆弾は不発となり、ハンスが、仕掛けた爆弾の下へ手榴弾を投げ入れ爆発させて殺害。現場から立ち去る際にロシア人のKGBを銃撃して殺してしてしまう。現場にはアリがいた。彼は黒い9月の仲間だった。顔を合わせたアヴナーとアリは一瞬凍りついたような表情になったが直ぐに襲撃をしあう。しかしアリはカールの至近距離からの銃撃に倒れる。呆然とした表情のアヴナーを乗せた車はその場から去っていく。

ある日、アヴナーは酒場で女に誘惑されるが断り、入れ違いに酒場に入ったカールに「危険な罠に注意」と伝える。翌日カールはベッドの上で死亡していた。ルイに彼女の正体を確認すると女はオランダ人。政治的背景はなく金だけで動く殺し屋だった。仲間を殺された彼らは女を殺した。ロバートは実行前に、リストにない女を殺すことを躊躇した。「今の自分はユダヤ人の誇りを見失ってしまっている」と。
アヴナーは結局、ロバートを連れて行かなかった。やがて彼らは気づく。殺しても殺してもあとから後任者がでてきて終わりがないことを。

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数日後、ハンスも外出中ナイフで殺害された。もはやアヴァナーは、ベッドの上で眠ることが出来なかった。そしてクローゼットの中で眠る。以前メンバーと交わした冗談のような話が現実のものとなってしまった。そんな中、爆弾を作っていたロバートも爆発事故で死亡した。
メンバーはスティーブと2人だけになってしまった。そんな彼らにルイは再びサラメの情報を売る。

二人はスペインのタリファへ。大きな屋敷にサラメはいた。しかし警備の少年に見つかり反射的に銃撃。少年を殺してしまう。サラメの殺害は失敗に終わった。そして彼らはモサドの上官から作戦中止命令を受け、アヴァナーはイスラエルに帰国した。メンバーは暗殺リストの11人のうち7人を殺害し、3人の仲間を失った。そして暗殺リストに載っていない人間を6人を殺してしまった。それでも彼等はイスラエルから功績を称えられた。結局トップの「アリ・ハッサン・サラメ」と、2番目の男「アブ・ダウド」を殺すことはできなかった。イスラエル側から「今回の情報源となった人物の名前を言え」と追求されるが、彼は決してその名を口にする事は無かった。

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アメリカの妻子のもとに帰ったアヴァナーは、自分が暗殺される恐怖と不安に苛まれる日々を送る。そして毎夜悪夢に見舞われる。とうとう彼はイスラエル政府さえも自分を殺そうとしているのではないかと錯覚してしまう。さらにルイのボス(父親)に連絡し、自分と家族が狙われてはいないかと確認する。死への恐怖と家族への危険への怯え。秘密工作員として人を殺し、そして仲間の死を垣間見、生き残った人間のリアルな心理が映し出されてる。

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アヴナーは国の為と当初この暗殺計画に望んだ。イスラエルの首相もエフライムも「国の平和のためにはテロと戦わなければならない」と。
彼もそれが正義だったと信じていたが、この体験をとおして出した結論は、そこには解決の糸口など微塵もありはしない ということだけ。
そのことをアメリカに訪ねてきたエフライムに訴えますが、話は平行線のまま。アヴナーはほんの僅かだけでも歩み寄りを望んだのでしょう。彼は自宅の食事に誘いますがエフライムは一瞬だけ悲しそうな表情をして、その申し出を断り去っていく。こうしてこの映画は幕を閉じます。


この極秘作戦は別のモサドの暗殺グループがフランスで捕まったことにより、事実が明らかとなりますが、彼の証言によっても当時のイスラエル政府の暗殺計画が浮き彫りになりました。選手の殺害からはじまり首謀者暗殺とそれに巻き込まれていく人。血で血を洗うだけの報復の連鎖は、ただ平穏に日々を送りたいと願う平凡な人々の命さえ奪ってしまう。母国イスラエルとの約束を破り、これを証言したアヴナーの決心は如何ほどのものだったのでしょう。多くの人に伝える事が問題解決の進展の鍵と考えたのだと思います。とても衝撃的な作品ですが、この映画や小説によってそれまでとは、全く異なる目線でこの問題を捉えたという人も多いのではないかと思います。
現在もアヴナーはイスラエルには戻らず、そのままアメリカで名前を変え身元を隠し家族と暮らしています。ちなみに作品中のアヴナーら当事者の氏名は全て仮名。当然の事ながら、モサドの元高官らはアヴナーの証言を否定している。尚、ミュンヘンオリンピックは、翌日にイスラエル選手団の追悼式が行われ、競技は続行された。

ミュンヘン [DVD] PG-12指定

[監督]
スティーヴン・スピルバーグ
[出演]
アヴナー      エリック・バナ
スティーブ      ダニエル・クレイグ
ロバート       マチュー・カソヴィッツ
カール        キーラン・ハインズ
ハンス        ハンス・ツィッシュラー
エフライム      ジェフリー・ラッシュ
トニー        イヴァン・アタル
アヴナーの母   ギラ・アルマゴール
ダフナ(妻)     アイェレット・ゾラー
パパ(ルイの父)  マイケル・ロンズデール
ルイ         マチュー・アマルリック
アンドレアス(旧友)モーリッツ・ブライプトロイ
シルヴィー      ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ
ジャネット(女殺し屋)マリ=ジョゼ・クローズ
イヴォンヌ      メレット・ベッカー
ツヴィ・ザミール   アミ・ワインバーグ
メイア首相      リン・コーエン
アリ          オマー・メトウォーリー



アリ・ハッサン・サラメ(1940年-1979年1月22日)
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  黒い九月の作戦に関わりミュンヘンオリンピック事件などの襲撃の中心人物 
  フォース17(総数3,300人のパレスチナ自治政府の警護部隊)の創設者。
  妻は1971年度ミス・ユニバースだったジョルジーナ・リザーク。

  「赤い王子」と呼ばれ、パレスチナの若者から人気があった。サラメはPLOとアメリカCIAの間を
  取り持っていたといい、ベイルートのアメリカ人の安全や政治的な支援をしていたという。
  また、アメリカからのパレスチナへの支援を得る目的でパレスチナとアメリカの接触を容易にする
  役割があった。イスラエル政府は、彼を「ミュンヘン五輪襲撃事件」を計画した首謀者とみなし、
  複数の暗殺チームを派遣していたと見られている。実際にサラメを殺害したのは、イギリス国籍を
  持つエリカ・チェンバースという女性工作員だった。アヴナーのグループが作戦を終了した7年後に、
  サラメは仕掛けられた自動車爆弾によって同行していたほかの8人とともに吹き飛ばされ死亡した。
  PLO議長ヤーセル・アラファートは「我々はライオンを失った」とその死を悼んだという。





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ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・モサドがハマス幹部を殺害?ドバイでパレスチナのイスラム強硬派組織「ハマス」幹部が暗殺された事件で、イスラエルの諜報機関「モサド」による暗殺作戦だったという疑惑が浮上したというネタで、モサドについて解説をしました。モサドは世界有数の情報機関として非常に有名ですが、その実態は不明な点が多いです。元職員や幹部の証言などがたまに出るので、それで関連情報が出てくることはありますが、古い話や誇張された話などもけっこうあって、なかなか現在の実態まではわかりません。いちおう公式サイトもあるのですが(http://www.mossad.gov.il/)ほとんど何も書いてません。モサドは正式名称を「イスラエル情報特殊作戦機関」といい、この「機関」がヘブライ語でモサドというのですが、それが公称となっています。

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